1992年、アレキサンダー・マックイーンが自身の名を冠したブランドを立ち上げる。2024年秋冬シーズンから、ブランド名を「マックイーン(McQUEEN)」に変更。
マックイーン(McQUEEN)は、イギリス・ロンドンを拠点とするラグジュアリーブランド。アパレルからバッグなどのアクセサリー、シューズ、ジュエリーまで、幅広く展開している。
制約のないクリエーション、革新的で妥協のない表現を特徴としている。相反する2つの要素「強さと脆さ」「光と闇」「革新と伝統」は隣り合わせにあるという発想のもと、強い個性、時に破壊的な強さ、形式的なものからの反発の中にもエレガンスを表現。コンテンポラリーラインとして「マックキュー アレキサンダー・マックイーン(McQ Alexander McQueen)がある。
創業者は、アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)。1969年タクシードライバーの子供としてロンドンに生まれる。中学卒業後、パブで仕事をしていたが長く続かず、仕立屋職人が人手不足というニュースをたまたま見たことがきっかけで、サヴィル・ロウの仕立職人の見習いを始める。ここからファッションのキャリアがスタート。
アンダーソン&シェパード、ギーブス&ホークスで計3年間仕立てを学び、ロンドンの舞台用の衣装を扱うバーマンズ&ネイサンズでキャリアを積む。その後、コージ タツノのもとで働くものの、間もなくコージ タツノが倒産。これを機にイタリアへと渡り、ロメオ ジリなどのもとでキャリアを積む。
ロンドンに戻り、セントマーチンズにパターンカッティングの講師として雇われる。このとき若干21歳。また、その間にセントマーチンズの大学院課程を卒業する。
1991年、卒業コレクションがエディターの目に留まったことを契機にデビューが決定。92年、自身のブランド「アレキサンダー・マックイーン」を立ち上げる。93年、ロンドン・コレクションにてデビュー。96年、ジバンシィのデザイナーに大抜擢される。
マックイーンの本質は、形式的なものからの反発にある。たとえば、クライアントの年齢層を考えると、若いモデルよりもイメージしやすいからという理由で、オートクチュールにモデルを使わずにマネキンを使用している。また、ファッションショーでも、モデルの顔にペインティングを施して、モデルの感情や表現力を取り払うスタイルをとるなど、さまざまな試みを行った。ジバンシィに抜擢された当時のコレクションは、周囲から酷評されることもしばしばあった。新聞や雑誌などのインタビューで、その時期は精神的に辛かった時期と語っている。
マックイーンは「まず、ブランドの歴史やユベール・ド・ジバンシィの時代をすべて忘れることから始めました」と自ら語るように、自己流のデザインを軸とした。マックイーンの就任後、その話題性やデザインから売上も伸びたものの、それはあくまでマックイーン流を貫いたデザインをより機能的にしたためであると言われている。それでも彼が「天才デザイナー」であることは誰もが認めていた。
1996年、ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ジ・イヤーを受賞。若干26歳での受賞だった。99年、活動の本拠をロンドンからニューヨークに移して話題を集めるものの、2000-01年秋冬より再びロンドンでコレクションを発表。この時、カジュアルライン「マックイーンズ」を開始している。
2000年、マックイーン社の株をグッチのグループ運営企業(現・ケリング)に売却。これによりジバンシィ社の親会社に当たるLVMHとの関係が拗れ、契約期限の終了前にデザイナーを更迭される。2002年春夏より、自身のブランドをパリコレクションにて発表。同年「ハンマツ・オブ・サヴィルロー」が縫製するクチュールのメンズコレクションを発表した。
2006年春夏、プーマとのコラボレーションで「Alexander McQUEEN PUMA」を発表。2006年春夏シーズンからトレンド指向、若者向けのカジュアルウェア「マックキュー(McQ)」をスタート。同年、英国赤十字のチャリティのためにブシュロンとコラボレートしたノヴァックバッグを発表した。
2007年春夏シーズン、サムソナイトの高級ラインであるブラックレーベルとのコラボレーションにより、クロコダイルのレザーを使用したキャリアケースなどを発売。
2010年2月11日、アレキサンダー・マックイーンが40歳で死去。世界の人々が悲しんだ。ブランドの親会社であるグッチ・グループはブランド継続を決定し、翌月のパリ・ファッション・ウィークでは遺作となったコレクションが発表された。
2010年5月、サラ・バートンがブランドのクリエイティブ・ディレクターに就任。サラ・バートンは、2000年よりウィメンズウェアのヘッドデザイナーとして活躍していた。2011年、サラ・バートンがブリティッシュ・ファッション・アワードのベスト・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
2014年、アレキサンダー・マックイーンの日本国内初の旗艦店が青山にオープン。2015年、グローブ・トロッターとコラボでスーツケースを発表。
2024年春夏コレクションをもって、サラ・バートンがクリエイティブ・ディレクターを退任。2023年、創業者のアレキサンダー・マックイーンのもとで働いていたときから約26年にわたってブランドに携わったことになる。
2023年10月、ショーン・マクギアーがクリエイティブ・ディレクターに就任。
2024年3月、ショーン・マクギアーのデビューとなる2024年秋冬コレクションにて、ブランド名を「マックイーン(McQueen)」に変更。また、ブランドロゴの刷新も同時に発表した。新ロゴは、アレキサンダー・マックイーンが手掛けた最初のロゴをもとにデザインした。
ショーン・マクギアーは、アイルランド・ダブリン生まれ。2014年、セントラル・セント・マーティンズにてファッションの修士号を取得。バーバリーなどでアシスタントを務めたのち、2014年よりクリストフ ルメールの元、ユニクロでメンズコレクションに携わる。その後、ドリス ヴァン ノッテンのウィメンズウェアデザイナーを経て、JW アンダーソンにてヘッドザイナーとして活躍。2023年10月、マックイーンのクリエイティブ・ディレクターに就任。