2021年に開催されるおすすめ「現代アート展」を特集。東京をはじめ、全国美術館・博物館などで開催される展覧会の中から、注目アートイベントをピックアップ。気鋭の若手作家から、KAWS、村上隆、横尾忠則といった日本や海外で人気の現代アーティストまで、多彩な展覧会・イベントを紹介する。
〈現代美術とは?〉
「現代美術とは何か」を指し示す明確な定義については議論が分かれており、「近代美術」に対して用いられる「現代美術」「現代アート」「コンテンポラリー・アート」といった言葉は、広く20世紀以降の美術を説明する時に用いられることもあれば、第二次世界大戦後の美術を示す時に用いられることもある。
たとえば、東京都現代美術館では「戦後美術」をコレクションとして所蔵。また、同じく現代美術を中心に収集を行う大阪の国立国際美術館でも、「1945年以後」の美術を所蔵している。
東京・森美術館で開催される展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」では、エジプト、インド、韓国、アメリカ、日本など世界各地で創作を続ける70代以上の女性作家16名を紹介。半世紀以上におよぶ各々のキャリアを辿っていくと、その多彩な実践や表現から、フェミニズム、世界で生じる問題、そして従来の美術史のさまざまな解釈が浮かび上がってくる。
会期:2021年4月22日(木)〜 2022年1月16日(日)
開催場所:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階)
東京の寺田倉庫 G1ビルにて開催される「バンクシーって誰?展」では、匿名のストリートアーティスト・バンクシーのストリートアートをリアルサイズで再現し、紹介。イギリスやアメリカ、中東などの街並みを表現した没入感あふれる空間の中で、各地に残されたストリートアートを一度に目にすることができる。また、プライベートコレクターが所持しているバンクシー珠玉のアート作品にも注目だ。バンクシー好きのデザイナー、ポール・スミス(Paul Smith)が所蔵する油彩画も登場する。
会期:2021年8月21日(土)〜12月5日(日)
開催場所:寺田倉庫 G1ビル(東京都品川区東品川2-6-4)
東京都写真美術館の「リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真」は、日本とオーストラリアを代表する現代写真を紹介する現代アート展。日本からは、〈Mother’s〉で2005年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本館代表作家に選出された石内都をはじめ、片山真理、畠山直哉、横溝静らが出品。また、オーストラリアからは、4つの部族の血を引く先住民の女性として育ち、文化的実践や知識の再生に焦点を合わせた活動を行うマレイ・クラークなどが参加している。
会期:2021年8月24日(火)〜10月31日(日)
開催場所:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
東京都現代美術館で開催される「ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow」は、若手作家・寒川裕人による、日本を拠点に活動するアーティストスタジオ「ユージーン・スタジオ」が手掛ける現代アート展。本邦初展示となる《ゴールドレイン》や新作、代表作など、多彩なクリエーションを紹介する。それぞれの作品に通底する視点や思想を紐解いていくと、現実を見据え新たな未来へと向かうまなざしが見えてくる。
会期:2021年11月20日(土)〜2022年2月23日(水)
開催場所:東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)
東京・上野の森美術館で開催される特別展「蜷川実花展─虚構と現実の間に─」は、アーティスト・蜷川実花の大規模個展。「虚構と現実」をテーマに、蜷川の写真作品や映像作品を紹介する。桜を被写体とした「桜」シリーズは、写真作品の展示に加え、や床全面も桜の写真で覆われるインスタレーションを展開。桜の花に囲まれた幻想的な空間を楽しめる。
会期:2021年9月16日(木)~11月14日(日) ※会期中無休
会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
東京都現代美術館にて開催される展覧会「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」は、アーティスト、クリスチャン・マークレーの大規模個展。作品を通して音楽とアートを接続する実践を行ってきた、マークレーの初期作品から最新作までを一挙に紹介。コンセプチュアル・アートやパンク・ミュージックに影響を受けた作品や、イメージと音の情報をサンプリングしたインスタレーションなど、多彩な作品を目の当たりにすることができる。
会期:2021年11月20日(土)〜2022年2月23日(水)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F(東京都江東区三好4-1-1 木場公園内)
東京・渋谷パルコのパルコミュージアムトーキョーにて開催される「Mickey Mouse Now and Future」展は、現代アートギャラリー・NANZUKAのキュレーションによるディズニー・ミッキーマウスをテーマにしたアート展。ミッキーマウスに魅了され影響を受けてきた、田名網敬一や空山基、ジェームス・ジャービス、ハビア・カジェハといったアーティストによる、ミッキーマウスの“今と未来”を表現したアート作品が展示される。
会期:2021年11月19日(金)~12月19日(日) 11:00~20:00
会場:パルコミュージアムトーキョー(東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ 4F)
展覧会「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」が箱根のポーラ美術館にて開催。アメリカの現代美術を代表するアーティストであるロニー・ホーンの国内初となる大規模個展だ。1980年代から約40年間にわたる創作活動を紹介。近年の代表作「ガラス彫刻」をはじめとする自然と密接に結びついた作品、とりわけ“水”の性質を思わせる作品が勢揃いする。
会期:2021年9月18日(土)〜2022年3月30日(水)
開催場所:ポーラ美術館 展示室1(神奈川県⾜柄下郡箱根町仙⽯原⼩塚⼭1285)
青森の十和田市現代美術館にて開催されるアーツ・トワダ(Arts Towada) 十周年記念「インター +プレイ」展は、3期にわたり長期開催される現代アート展。十和田市のシンボルロード・官庁街通りをまるごと「美術館」に見立てるプロジェクト「アーツ・トワダ」10周年を記念して開催される。第1期では、空間の中で来場者に新たな感覚を開くような作品を紹介。視覚を揺さぶるインスタレーションや、音に身体が溶けていくようなサウンドインスタレーションなどが展開される。
会期:第1期 2020年7月23日(木・祝)〜2021年8月29日(日)
※第2期 2021年9月18日(土)〜2022年1月10日(月・祝)/第3期 2022年1月22日(土)〜2022年5月29日(日)
※当初は2020年4月18日(土)〜2021年5月30日(日)の会期を予定していたが変更となった。
開催場所:十和田市現代美術館(青森県十和田市西二番町10-9)
2021年度春夏に開催の「りんご宇宙─Apple Cycle / Cosmic Seed」に続く形で、青森・弘前れんが倉庫美術館にて開催される2021年度 秋冬プログラム「りんご前線─Hirosaki Encounters」では、弘前とさまざまな接点をもつアーティストの作品を展示。小林エリカ、斎藤麗、佐野ぬい、塚本悦雄、村上善男といった日本人作家が出品する他、ケリス・ウィン・エヴァンスが弘前のりんごとの出会いに着想を得て制作した巨大なネオン彫刻も、第一部から継続して展示される。
会期:2021年10月1日(金)〜2022年1月30日(日)
開催場所:弘前れんが倉庫美術館(青森県弘前市吉野町2-1)
神戸ファッション美術館にて開催される深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢」は、リアルな“金魚”を描く現代美術家・深堀隆介の作品約300点が集結する展覧会。ヒレの薄さやウロコの透明感など、本物の金魚そっくりの超絶技巧を駆使した“深堀金魚”作品を存分に楽しめる。
会期:2021年9月11日(土)~11月7日(日)
会場:神戸ファッション美術館(兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1)
※2021年12月2日(木)~2022年1月31日(月)、東京の上野の森美術館でも開催。
兵庫の姫路市立美術館にて開催の日比野克彦展「明後日のアート」は、段ボールを素材とした作品で知られるアーティスト・日比野克彦の全貌を探る展覧会。現在進行形の日々野のアートプロジェクトとともに、これらの源泉となった1980〜90年代の作品を紹介する。
会期:2021年9月18日(土) 〜 2021年11月7日(日)
会場:姫路市立美術館 企画展示室(兵庫県姫路市本町68-25)
三重県立美術館で開催される現代アート展「ミケル・バルセロ展」は、スペインが誇る現代美術作家であるミケル・バルセロの、日本初の大規模個展。“大地”からインスパイアされた紙作品や砂漠での経験に触発された絵画など、代表作を含む93点の作品が会場に集結する。スペイン・マジョルカ島にルーツを持つミケル・バルセロにとって常に身近な存在であった“海”にまつわる作品にも注目だ。
会期:2021年8月14日(土)〜10月24日(日)
開催場所:三重県立美術館(三重県津市大谷町11)
※2022年1月13日(木)〜3月25日(金)、東京オペラシティアートギャラリーに巡回。
香川の高松市美術館にて開催される企画展「大・タイガー立石展 変幻世界トラ紀行」は、絵画やマンガ、絵本など、さまざまなジャンルで独創的な制作活動を展開し“和製ポップ・アート”の先駆けとして注目された現代アーティストのタイガー立石の過去最大規模の個展。明治・大正・昭和という日本近代を総括する大画面三部作をはじめ、10代の頃の作品から遺作まで、200点を超える作品や資料が集結する。
会期:2021年9月18日(土)〜11月3日(水)
会場:高松市美術館(香川県高松市紺屋町10-4)
※2021年11月16日(火)〜2022年1月16日(日)、埼玉県立近代美術館・うらわ美術館にて巡回展「大・タイガー立石展 世界を描きつくせ!」を開催。