企画展「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」が、神奈川の茅ヶ崎市美術館にて、2022年9月10日(土)から11月6日(日)まで開催される。広島でも開催された巡回展だ。
江戸期に隆盛した浮世絵版画は、明治期以降、西洋の写真や印刷技術導入の影響のもと、衰退の一途をたどることになる。そのなかで、絵師・彫師・摺師の協業による伝統的な木版画技術を使い、芸術性に優れた木版画を作ることを目指したのが、「新版画」であった。
新版画を牽引したのが、渡邊庄三郎とその版元・渡邊版画店だ。浮世絵ならではの美しさに魅了された渡邊は、1909年(明治42)、東京・京橋に渡邊版画店を開業。1915年(大正4)からは、来日した外国人画家による作品の版画化を試み、伊東深水や川瀬巴水といった鏑木清方門下生を中心とする気鋭の画家を絵師に起用した。
伝統的な浮世絵木版画の技術に基づきつつも、高品質な材料を用い、さらに従来にはない鮮やかな色彩や、それまで否定的に捉えられてきた「ざら摺り」など手摺りならではの技法を駆使した新版画は人気を博し、昭和初期には国内外でブームを引き起こしている。
企画展「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」では、渡邊庄三郎の挑戦の軌跡をたどりつつ、貴重な初摺の作品を紹介。川瀬巴水の《清洲橋》や《東京十二題 こま形河岸》、小原祥邨の《山葡萄に四十雀》など、伝統に基づきつつも近代的な感覚を反映した新版画作品の数々を目にすることができる。
また、本展では、初公開となる作品も紹介。チャールズ・W・バートレットの水彩肉筆画《ポンディシェリー》や、戦時中、太い線を用いた鳥居派の様式「瓢箪足蚯蚓描(ひょうたんあしみみずがき)」を復興した上野忠雅の作品なども展示する。
企画展「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」
会期:2022年9月10日(土)〜11月6日(日) 前期・後期で作品の入れ替えあり
[前期 9月10日(土)〜10月10日(月・祝) / 後期 10月12日(水)〜11月6日(日)]
会場:茅ヶ崎市美術館 展示室1・2・3
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)
観覧料:一般 800円(700円)、大学生 600円(500円)、市内在住65歳以上 400円(300円)
※高校生以下、障がい者およびその介護者は無料
※( )内は20名以上の団体料金
※前期のチケット提示で後期の観覧料100円引き(ひとり1回限り有効、他の割引サービスとの併用不可)
※会期は変更となる場合あり(最新情報については美術館ホームページにて確認のこと)
【問い合わせ先】
茅ヶ崎市美術館
TEL:0467-88-1177