展覧会「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」が、京都国立近代美術館にて、2025年7月19日(土)から9月15日(月・祝)まで開催される。その後、静岡市美術館に巡回する。
日本の伝統的な装いである、きもの。自然や風俗、吉祥文様といったさまざまな意匠を、織りや染め、刺繍などを用いて表現したきものには、日本で培われてきた美意識が結実しているといえる。また、布地を直線縫いで仕立てるために強い平面性を持ちながら、衣服として身にまとうことで立体性が生じるところに、洋服とは異なる面白さが潜んでいる。
「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」展は、きものの魅力を多面的にひもとく展覧会。創業470年を迎える友禅の老舗・千總の全面的な協力のもと、京都国立近代美術館の所蔵作品を加えて、近世から近代にいたるきものの優品、関連資料、きものと関わりの深い日本画や工芸を紹介する。
古くは「小袖」と呼ばれたきものが現在のように着用されるようになったのは、桃山〜江戸時代のこと。江戸時代中期、、布に模様を染める「友禅染」の技法が完成されると、意匠や模様の構成がより自由に構成されるようになった。本展では、《白綸子地立木薔薇文様小袖》をはじめとする、近世の小袖などから幕を開ける。
明治時代以降には、京都の日本画家の発想や空間構成を活かして染織図案を考案するなど、きものの新しい意匠が続々と登場した。ただし、日本画家や図案家による下絵や図案がそのまま使われるのではなく、装飾技法や色彩、きものに仕立てることを考慮しつつ、最終的な染織図案ができあがる。会場では、近代の肉筆染織図案や、それをもとに制作されたきものの裂地、流行の図案と同じ作風である当時の近代工芸作品も紹介する。
本展では、伝統に⽴脚しつつ新しい表現を求める、⼈間国宝による作品も展示。森⼝華弘の《友禅訪問着「彩華」》や三代⽥畑喜⼋の《⼀越縮緬地鳳凰桐⽂振袖》をはじめ、森⼝邦彦、初代上野為⼆、⽻⽥登喜男の作品を目にすることができる。
展覧会「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」
会期:2025年7月19日(土)〜9月15日(月・祝)
会場:京都国立近代美術館
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日に休館)
※詳細については追って告知
■巡回情報
・静岡会場
会期:2025年10月25日(土)~12月21日(日)
会場:静岡市美術館
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー 3F
【問い合わせ先】
京都国立近代美術館
TEL:075-761-4111(代表)