長野県立美術館では、展覧会「NAM アーカイブ&リサーチ 2022 信州の生活と版画─上野誠が見つめた戦後」を、2022年10月27日(木)から2023年2月14日(火)まで開催する。
「NAM アーカイブ&リサーチ」は、長野県内で行われた芸術活動や、ゆかりのある作家を紹介する企画だ。その第1回目となる本展「信州の生活と版画─上野誠が見つめた戦後」では、戦前から戦後にかけて興った「創作版画」の概略をたどるとともに、長野市川中島出身の版画家・上野誠(うえの まこと)の作品を紹介する。
創作版画とは、明治末期より山本鼎(やまもと かなえ)らが中心となって提唱した版画だ。版元を中心に絵師、彫師、摺師の協業によって作られた江戸期以来の浮世絵木版画とは異なり、「自画・自刻・自摺」を掲げて、自身の生活や身近な風景を木版画作品として描きだした。信州では、創作版画を愛好する人びとによって数多くの同人誌が制作されている。本展では、『櫟(くぬぎ)』や『葵(あおい)』といった北信地域で発行された戦前の版画同人誌を紹介する。
一方、第二次世界大戦の終戦後の荒廃した社会状況において、版画制作は文化の復興や人間性の回復を目的として、学校教育やサークル活動に取り入れられた。「版画の町」と称された岡谷市では、武井武雄らが同地の文化運動の中核となる「双燈社」を結成。また、同会の一員である増沢荘一郎は、学校教育における版画制作を推進した。会場では、パネルや資料を中心に、戦後の信州における版画の広がりに光をあてる。
上野誠は、1909年に生まれ、戦前から戦後にかけて、労働者や農民、戦争によって虐げられた人々の姿を描いた版画家だ。労働や反戦への視点から、一貫して平和への思いを込めた作品を手がけるとともに、1956年に『生活版画』を著すなど、自分たちの生活のありのままの姿を捉えようとする生活版画の普及にも勤めた。本展では、上野が1960〜70年代に制作した作品を通して、戦後の様相と上野の作品世界を紹介する。
展覧会「NAM アーカイブ&リサーチ 2022 信州の生活と版画─上野誠が見つめた戦後」
会期:2022年10月27日(木)〜2023年2月14日(火)
※会期中、上野誠作品のみ展示替え予定
[前期 10月27日(木)〜11月23日(水・祝) / 中期 11月25日(金)〜12月27日(火) / 後期 1月5日(木)〜2月14日(火)]
会場:長野県立美術館 1F オープンギャラリー
住所:長野県長野市箱清水1-4-4
開館時間:9:00〜17:00
休館日:水曜日(11月23日(水・祝)は開館)、11月24日(木)、年末年始(12月28日(水)〜1月4日(水))
観覧料:無料
※内容は変更となる場合あり(最新情報については美術館ホームページを確認のこと)
【問い合わせ先】
TEL:050-5542-8600 (ハローダイヤル)