企画展「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」が、東京の町田市立国際版画美術館にて、2024年9月14日(土)から12月1日(日)まで開催される。
企画展「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」は、第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間にあたる約20年間に着目し、版画作品約230点を紹介する展覧会だ。
ヨーロッパ全土を揺るがした第一次世界大戦ののち、1920年代のフランスとアメリカは、「狂騒の時代」と呼ばれる華やかな時代を迎えることになる。当時の美術家は、自動車や飛行機といった工業的なモチーフ、賑わうサーカスやキャバレー、最新のファッションをまとうモダンガールなどに着想を得て、現代への賛美ともいえる作品を手がけたのであった。
一方、この時代にはドイツを中心に、戦争の惨禍を反映する作品や、享楽的な世相への皮肉、近代化に対する不安を表現する作品が生みだされだ。第一次世界大戦の敗戦国ドイツでは、マックス・ベックマンをはじめ戦争を経験した美術家が、都市の喧騒を冷ややかに見つめた作品を残している。また、社会主義国家となったロシアでは、「ロシア・アヴァンギャルド」と呼ばれる芸術表現の革新運動が展開されるも、国家統制により1930年代初頭には終わりを迎えることとなった。
会場では、新しい社会に対する期待と不安が入り混じる、両大戦間期の作品に着目。第一次世界大戦後に再刊されたファッション誌『ガゼット・デュ・ボン・トン』、都市をテーマとする版画や絵本などの印刷物を通して、当時のフランス、アメリカ、日本、ドイツ、ロシアの様相を紹介する。
両大戦間期のフランスでは、古い慣習から脱して新しい時代へと向かう「モダニズム」と、戦争をもたらした文明から距離をとって伝統へと戻る「秩序への回帰」というふたつの潮流が競合していた。たとえば、伝統的な写実性から離れた抽象表現は、モダニズムの大きな流れのひとつであった。一方、当時のパリでは挿絵本文化が隆盛し、版画の古典技法にも目が向けられている。さらにシュルレアリスムは、非合理的な無意識の世界に着目し、文学、絵画、写真、版画など、広範な領域に影響を及ぼした。
本展では、写真や映画が新たな表現として注目された当時、旧来の表現媒体である版画を制作し続けた美術家を、「抽象表現」、「挿絵本文化」、「シュルレアリスム」という3つのキーワードのもとで紹介。ピエト・モンドリアン、フランティシェク・クプカ、サルバトール・ダリなどの作品を通して、伝統とモダニズムがせめぎ合う時代の版画表現に光をあててゆく。
企画展「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」
会期:2024年9月14日(土)〜12月1日(日)
会場:町田市立国際版画美術館 企画展示室1・2
住所:東京都町田市原町田4-28-1
開館時間:平日 10:00~17:00 / 土・日曜日、祝日 10:00~17:30
※入場はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(9月16日(月・祝)・23日(月・振)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・振)は開館)、9月17日(火)・24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
観覧料:一般 800円(600円)、高校・大学生 400円(300円)、中学生以下 無料
※( )は20名以上の団体料金
※身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)、精神障がい者福祉手帳の所持者および付添者1名は半額
※9月14日(土)の展覧会初日、11月3日(日・祝)「文化の日」は入場無料
※会期中の第4水曜日「シルバーデー」(9月25日、10月23日、11月27日)は65歳以上の入場無料
【問い合わせ先】
町田市代表
TEL:042-722-3111