展覧会「闇と光 ─清親・安治・柳村」が、東京の太田記念美術館にて、2022年11月1日(火)から12月18日(日)まで開催される。
明治を代表する浮世絵師のひとり、小林清親(こばやし きよちか)は、1876年(明治9)、西洋からもたらされた石版画や油彩画、写真などの表現を浮世絵木版画に取り入れ、光や影の移ろいを巧みに捉えた「光線画」を制作した。闇夜の街に輝くガス灯の光や、鮮やかな赤い色に染まった夕焼けの空などを描いたこの風景画は大いに人気を博し、井上安治(いのうえ やすじ)や小倉柳村(おぐら りゅうそん)といった絵師も清親の後に続いた。
それまでにはない東京の風景を描いた光線画の流行は、わずか5年ばかりと短かったものの、木版画表現の新しい可能性を切り拓くものであった。展覧会「闇と光 ─清親・安治・柳村」では、小林清親を中心に、井上安治と小倉柳村による光線画を一挙に展示する。
本展では、小林清親の《江戸橋夕暮冨士》や《川口善光寺雨晴》、《大川岸一之橋遠景》、井上安治の《浅草橋夕景》や《銀座商店夜景》、そして小倉柳村の《湯嶋之景》や《御茶水之景》などの作品を通して、光線画の全貌を紹介。会期の前後期で展示作品の全点入れ替えを行い、あわせて約200点を展示する。
小林清親の門人でその光線画を忠実に受け継ぐも、数え26歳の若さで亡くなった井上安治と、小林清親に倣って光線画を手がけるも、作品がわずか9点しか確認されていないなど、その経歴がいまだ謎に包まれている小倉柳村。本展は、これまで紹介される機会の少なかった井上安治と小倉柳村に光をあてる貴重な展覧会となる。
さらに本展では、同じ版木でも摺りの異なる「摺り違い」や、画面にニスを引いた「ニス引き」など、変わり種の作品をあわせて展示。摺り違いの小林清親《佃嶋雨晴》やニス引きの小倉柳村《向嶋八百松楼之図》など、表現の違いを比較しつつ楽しむことができる。
展覧会「闇と光 ─清親・安治・柳村」
会期:2022年11月1日(火)〜12月18日(日) 前後期で全点展示替え
[前期 11月1日(火)〜11月23日(水・祝) / 後期 11月26日(土)〜12月18日(日)]
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
開館時間:10:30〜17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日、11月24日(木)・25日(金)
観覧料:一般 1,000円、大高生 700円、中学生以下 無料
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)