六本木ヒルズ・森美術館10周年を記念して開催される「LOVE展:アートにみる愛のかたち」が2013年4月26日(金)からスタートする。
古今東西の芸術家たちに多彩なインスピレーションを与えてきた「愛」。
人類の誰にとっても欠かせないものであり、ひと言では説明することができない多様な形を持ち、そして紙一重で嫉妬や恨みなどダークなものにも繋がりかねない危うさも併せ持つ様々な「LOVE」をテーマに掲げ、往年の名画からコンテンポラリーなコミッションワークまで一堂に集めた展覧会だ。
ロンドンのテート・ギャラリーやニューヨークのMOMA、金沢21世紀美術館、国立西洋美術館など国内外のギャラリーから集められた約60以上の作家のアート作品が、「愛ってなに?」、「恋するふたり」、「愛を失うとき」、「家族と愛」、「広がる愛」の5セクションに構成されている。
ここからは、それぞれのセクションごとに、LOVE展の全貌をナビゲートしていく。
現代アートだけで構成されたセクション「愛ってなに?」には、「愛」と聞いて私たちが直ぐに思い浮かべるような「ハート」や「ピンク」など、象徴性を感じることができる記号化された愛の形が集められた。
エントランスに入ると正面にそびえるのが、この展覧会のビジュアルアイコンにもなっているジェフ・クーンズ(米)の『聖なるハート』。巷のラッピングされたチョコレートを高さ3.6メートル、重さ2トンまで巨大化させるという、ポップな手法で表現された。ハースト・デミアン(英)のピンクのハートはパッと見はかわいいが、近くでよく見ると本物の蝶の死骸が張り付けられていて、愛と死の関係を語っているようだ。
デミアン・ハースト
「LOVE」の字の巨大彫刻を代表作に持つロバート・インディアナ(米)だが、今回展示されている油彩の『ラブ』は非常に珍しく、これまで北米以外には持ち出されたことのない作品。その対角線上に配された、ギムホンソック(韓国)が作成した『ラブ』は、そのロバート・インディアナの『ラブ』を引用し、変形させたものだ。
次の暗い展示室へ移動すると、ネオンの作品で有名なトレーシー・エミンの「あなたを愛すると誓うわ」が目に入る。ドールハウスを人間サイズに拡大した『ザ・ピんくはうす』は、西山美なコの作品。
可愛いはずの人形の部屋だが、大きくすると何故か安っぽく、ケバケバしく見え、まるで女性の自己愛をグロテスクに誇張しているかのように、あるいはピンク産業に対する皮肉が込められているかのように感じられる。
左)オーギュスト・ロダン 右)コンスタンティン・ブランクーシ
人間の普遍的な感情であり、根源的な本能である恋愛をテーマにしたセクションには、オーギュスト・ロダンとそのロダンに影響を受けたコンスタンティン・ブランクーシ、それぞれの『接吻』、そしてマルク・シャガールが自身と妻を描いた2つの作品、ルネ・マグリットの『恋人たち』など、恋人たちを描いた往年の名作がひとつのスペースに集められている。