展覧会「入門 墨の美術 ―古写経・古筆・水墨画―」が、東京の静嘉堂文庫美術館にて2019年8月31日(土)から10月14日(月・祝)まで開催される。

奈良～室町時代の「墨」にまつわる日本美術

「入門 墨の美術 ―古写経・古筆・水墨画―」は、「墨」をテーマに、奈良時代から室町時代までの日本美術の優品を紹介する展覧会。「古写経」「古筆」「水墨画」といったカテゴリーに注目し、約30点にも及ぶ作品を通して、墨が表現する時代の美意識に迫る。

10年ぶりに水墨画を一挙公開

見所となるのは、10年ぶりに一挙に公開される、静嘉堂の水墨画。修理後初公開となる、重要文化財の伝周文筆「四季山水図屏風」は、周文の水墨山水画のスタイルの中でも、最も成熟した作品だといわれている。

右から左へと季節の移ろう「四季山水図屏風」は、右隻に春の訪れを告げる梅樹やそびえる山々が描かれ、左隻に真っ白な雪山が登場。計算しつくされた構成と、筆墨による細やかな大気の表現に注目したい。

時代性を感じられる古筆も

また、藤原公任の撰による、588首の漢詩句と216首の和歌を収めた詩歌集『和漢朗詠集』下巻の一部である国宝「倭漢朗詠抄 太田切」も、修理後初公開される。「倭漢朗詠抄 太田切」は、大陸からわたってきた華麗な唐紙に、大和絵風の下絵をあしらい、漢詩と和歌を墨書。大胆かつ軽快に書かれた書、優雅な体裁からは、平安時代当時の、貴族の教養や美意識が感じられる。

【詳細】
入門 墨の美術 ―古写経・古筆・水墨画―
会期：2019年8月31日(土)～10月14日(月・祝)
場所：静嘉堂文庫美術館
住所：東京都世田谷区岡本2-23-1
休館日：毎週月曜日(ただし、9月16日・9月23日・10月14日は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)
開館時間：10:00～16:30(入館は16:00まで)
入館料：一般 1,000円、大高生及び障害者手帖所持者(同伴者1名を含む) 700円、中学生以下無料 ※20名以上の団体、200円割引