ねずみの登場人物は、以後、名前や性格、ストーリーは異なれども、繰り返し登場することになる。会場では『フレデリック』を筆頭に、レオーニ唯一の油彩による絵本『みどりのしっぽのねずみ』、絵描きになったねずみの物語『マシューのゆめ』など、絵本原画を展示している。鋏で切ったり、手でちぎったりと、作品やキャラクターごとに表情の異なるコラージュ技法など、それぞれの作品のニュアンスまで楽しめそうだ。
コラージュ、油彩や鉛筆画というように、レオーニのねずみたちはさまざまな技法で表現されたものの、そのシンプルな形は大きく変わることがなかった。また、主人公にも目立った特徴が与えられることはない。それでも、顔の向きや表情、構図などによって、ストーリーがわかりやすく展開されている。シンプルな形だからこそ、登場人物がどこにいて、どこを向いているのかが、よりわかりやすくなるのだ。このようにレオーニの絵本では、デザイナーやアートディレクターとして培ってきた知識が活かされているといえる。
また、レオーニの絵本に人間はめったに登場しないものの、その物語で繰り広げられるのは、人間社会で起こることがらだ。アーティストの役割に光をあてた『フレデリック』、画家になる夢を抱いた少年時代の思いを絵本にした『マシューのゆめ』、戦争の恐ろしさをほのめかすかのような『みどりのしっぽのねずみ』など、絵本作品の数々からは、レオーニの足跡と思い、デザイナーやアーティストとしての活動の積み重ねを感じ取ることができるだろう。
展覧会「レオ・レオーニと仲間たち」
会期:2024年11月9日(土)〜2025年1月13日(月・祝)
会場:板橋区立美術館
住所:東京都板橋区赤塚5-34-27
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(1月13日(月・祝)は開館)、12月29日(日)~1月3日(金)
観覧料:一般 650円、高校・大学生 450円、小・中学生 200円
※土曜日にかぎり小学・中学・高校生の観覧無料
※65歳以上・障がい者割引あり(要証明書)
■巡回情報
・愛知会場
会期(予定):2025年4月19日(土)~6月15日(日)
会場:刈谷市美術館
住所:愛知県刈谷市住吉町4-5
・東京会場
会期(予定):2025年7月5日(土)~8月27日(水)
会場:ヒカリエホール
住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ 9F
※ヒカリエホールでの展示は、第5章「レオの絵本」に焦点を合わせ、新規制作映像などのコンテンツを追加して新たに構成した内容となる
・岩手会場
会期(予定):2026年1月17日(土)~3月22日(日)
会場:岩手県立美術館
住所:岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
・長崎会場
会期(予定):2026年7月~8月
会場:長崎県美術館
住所:長崎県長崎市出島町2-1
※変更となる可能性あり
【問い合わせ先】
板橋区立美術館
TEL:03-3979-3251