ねずみの仲間たちを描いた絵本『フレデリック』などで親しまれる作家、レオ・レオーニ。20世紀のイタリアやアメリカを拠点に、レオーニはデザインや絵画、絵本など、多彩な分野で活躍した。レオーニの幅広い活動を、同時代のアーティストにも光をあてつつ紹介する展覧会「レオ・レオーニと仲間たち」が、東京の板橋区立美術館にて、2024年11月9日(土)から2025年1月13日(月・祝)まで開催される。
レオ・レオーニは、『あおくんときいろちゃん』や『スイミー』、『フレデリック』といった絵本で、今なお親しまれている。1910年生まれのレオーニが初めて絵本を出版したのは、1959年のこと。青年期にはイタリアで未来派に参加し、その後アメリカでアートディレクターとして活躍、後半生には画家、彫刻家、そして絵本作家として作品を手がけるなど、さまざまなアーティストと交流しつつ多分野にわたる活動を行ってきた。
板橋区立美術館はこれまで、2度にわたってレオ・レオーニの展覧会を開催してきた。1996年には、レオーニ本人の協力のもと、日本初となる展覧会を開催。レオーニの没後も遺族との交流は続き、2020年には多数の初公開作品を紹介する展覧会を開催した。同館で3度目の展覧会となる「レオ・レオーニと仲間たち」展では、デザインや絵画、絵本原画などを展示しつつ、レオーニの活動の全貌を、20世紀の文化史の流れのなかで紹介する。
1910年オランダ・アムステルダム近郊に生まれたレオ・レオーニは、幼少期より美術に親しみ、画家を志すようになった。ベルギーやアメリカで過ごしたのち、1925年、一家でイタリア・ジェノヴァに移住。本展の序盤では、イタリアにおけるレオーニ初期の活動に光をあてている。
レオーニは、高校生時代に油彩画制作を始め、大学生になった1930年代からは抽象画をスタート。2年弱という短い期間ながら、機械化によるスピード感を称えた前衛美術運動・未来派に参加している。これは、1932年に未来派のリーダー、フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティがレオーニの作品を目にし、「未来派の画家」と認めたためであった。会場では、《楽器を持つ2人の人物》など、未来派の影響を窺える作品を展示している。
大学卒業後のレオーニは、広告・出版文化が隆盛するミラノでデザイナーの職を得て、イラストやデザインの分野で活躍。当時イタリアで流行していた風刺漫画も手がけている。会場では、レオーニが手がけた広告やポスター、ユーモア漫画などを目にすることができる。
イタリアにおいてレオーニは、イラストレーター・漫画家のソール・スタインバーグや、未来派のブルーノ・ムナーリなど、多くの文化人と交流している。この地で始まったスタインバーグやムナーリとの交流は、アメリカでも続いてゆくことになる。本展では、スタインバーグが手がけたユーモラスな漫画や肖像、ムナーリによるデザインの仕事などを紹介している。
レオーニは1939年、イタリアで差別的な人種法が交布されたことを背景に、アメリカへ渡っている。この地でレオーニは、アートディレクターとして活躍するばかりでなく、初個展を開催するなど、画家としての道を歩み始めた。本展の中盤では、アメリカでのアートディレクター時代を紹介している。