特別展「もしも猫展」が、名古屋市博物館にて、2022年7月2日(土)から8月21日(日)まで開催される。その後、京都文化博物館、新潟市美術館などに巡回する。
人間以外の対象を人間になぞらえることを、「擬人化」と呼ぶ。江戸時代末期、1841年(天保12)頃から、浮世絵師の歌川国芳は猫を擬人化し、あるいは役者を猫にした作品を次々と手がけた。特別展「もしも猫展」では、猫の擬人化作品と、それらを描いた歌川国芳を中心に、江戸時代の擬人化表現を紹介する。
擬人化表現はパロディの一種だといえ、人びとに広く知られた特質や伝承、あるいは世間を騒がせた話題などもとに制作されることがある。この時、既存のイメージからの逸脱から生じる「可笑しみ」に、擬人化の特徴があるといえる。とりわけ、大衆を主なターゲットとした浮世絵では、こうした傾向が顕著であった。本展では、擬人化して描いた作品と元となったイメージを比較することで、擬人化表現の魅力を探るとともに、江戸期から明治期にかけての擬人化表現の歴史を概観し、擬人化の効果にも光をあてる。
1841年(天保12)、歌川国芳は《猫の百面相》という団扇絵を制作した。猫を人間らしい仕草で描くことにとどまらず、実在する歌舞伎役者を猫に仕立てるという同作の趣向は、国芳ならではの新機軸であり、役者戯画の幅も大きく拡がることになった。本展では、こうした趣向の様相と展開に着目。また、国芳の観察力や的確な表現力が光る、ユーモラスな擬人化表現の数々も紹介する。
1842年(天保13)、山東京山作・歌川国芳画の合巻『朧月猫の草紙』が刊行された。雌猫「おこま」を主人公とする同作は、江戸時代の人びとに共有されたさまざまなイメージが作品内に巧みに織り込まれ、シリーズ化するほどの人気を獲得した。本展では、異類の婚礼儀礼をつづった「嫁入物(よめいりもの)」の流れのなかにこの作品を位置付け、後世への影響についても紹介する。
特別展「もしも猫展」
会期:2022年7月2日(土)~8月21日(日) 会期中に場面替えあり
会場:名古屋市博物館
住所:愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1
開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
休館日:7月4日(月)・11日(月)・19日(火)・25日(月)・26日(火)、8月1日(月)・8日(月)
観覧料:一般 1,600円(1,400円)、高大生 1,000円(800円)、小中生 500円(300円)
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※前売券は2022年7月1日(金)まで販売
※中学生・高校生・大学生は学生証などを提示
※身体障害者は手帳、難病患者は受給者証の提示により、本人と介護者2名まで当日料金の半額
※各種割引の併用は不可
※展覧会および関連事業は変更・中止となる場合あり(来館前に展覧会公式サイトやSNSにて最新情報を確認のこと)
■巡回情報
・京都会場
会期:2023年9月23日(土・祝)~11月12日(日)
会場:京都文化博物館(京都府京都市中京区三条高倉)
・新潟会場
会期:2024年4月13日(土)~6月2日(日)
会場:新潟市美術館(新潟県新潟市西大畑町5191-9)
・広島会場
会期:2024年12月19日(木)~2025年2月9日(日)
会場:広島県立美術館(広島県広島市中区上幟町2-22)
【問い合わせ先】
名古屋市博物館
TEL:052-853-2655