「ゲルハルト・リヒター展」が、東京国立近代美術館にて、2022年6月7日(火)から10月2日(日)まで開催される。その後、2022年10月15日(土)から2023年1月29日(日)まで、愛知の豊田市美術館に巡回する。
ゲルハルト・リヒターは、1932年にドイツ・ドレスデンで生まれ、1960年代に本格的に活動を開始して以来、世界のアートシーンを牽引してきた現代美術の巨匠だ。具象絵画や抽象絵画、写真、フォト・ペインティング、そしてガラスや鏡を用いた作品など、多彩な表現方法を駆使しつつ、リヒターは人がものを見て認識する原理を問い直す作品を展開し続けてきた。
「ゲルハルト・リヒター展」は、日本の美術館では16年ぶり、東京の美術館では初となる、リヒターの大規模個展。画家自らが愛蔵してきた作品群を中心に約110点を一堂に集め、60年にわたるその画業を紹介する。
とりわけ注目は、日本初公開となる大作《ビルケナウ》だ。同作は、第二次世界大戦中にアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で、密かに、かろうじて撮影された写真のイメージに絵具のレイヤーを重ねた、巨大な抽象画4点から構成される作品である。リヒターは活動初期からショアー(ホロコースト)に関心を寄せつつ、何度か取り組もうと試みたものの断念してきたが、2014年、幅2m、高さ2.6mの作品4点からなるこの大作を完成させるに至ったのだった。
会場では、近年の最重要作とされる《ビルケナウ》を、同寸の4点の複製写真、そして大きな横長の鏡の《グレイの鏡》とあわせて展示する。
また、本展では、初期のフォト・ペインティングから、アブストラクト・ペインティングやオイル・オン・フォト、最新作のドローイングまで、リヒターが手がけてきたさまざまな作品をテーマ別に紹介。たとえば「フォト・ペインティング」は、写真を忠実に描くことで、絵画を制作するうえでの枠組みや主観性を回避し、写真の客観性を獲得するシリーズだ。
一方、「オイル・オン・フォト」は、写真に油絵具などを塗りつけたシリーズであり、1980年代後半に制作されはじめた。絵具は写真のイメージを覆い隠し、物質的な存在感を強調する一方、写真の再現性に対してその上にのせられる絵具はつねに抽象的なものである。写真と絵具が混合せず、平面状に並置されるこのシリーズは、リヒターの創作の核心を端的に表すものだといえる。
そのほか、画面を灰色で覆う「グレイペインティング」や、40年以上にわたって手がけられてきた「アブストラクト・ペインティング」など、リヒターが取り組んできたそれぞれのシリーズを往還しながら楽しむことができる。
「ゲルハルト・リヒター展」
会期:2022年6月7日(火)〜10月2日(日)
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
開館時間:10:00〜17:00(金・土曜日は10:00〜20:00)
※9月25日(日)~10月1日(土)は10:00〜20:00
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(9月19日(月・祝)、9月26日(月)は開館)、9月27日(火)
観覧料:一般 2,200円、大学生 1,200円、高校生 700円
※中学生以下、障害者手帳の提示者とその付添者(1名)は無料
※本展の観覧料で入館当日にかぎり、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」も観覧可
※展示作品、会期、休館日、開館時間などは変更となる場合あり(最新情報については展覧会公式ウェブサイトなどにて確認のこと)
■巡回情報
・豊田会場
会期:2022年10月15日(土)〜2023年1月29日(日)
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)