企画展「テート美術館展 光 ─ ターナー、印象派から現代へ」が、東京・六本木の国立新美術館にて、2023年7月12日(水)から10月2日(月)まで開催される。その後、2023年10月26日(木)から2024年1月14日(日)まで、大阪中之島美術館に巡回する。
企画展「テート美術館展 光 ─ ターナー、印象派から現代へ」は、イギリス・テート美術館のコレクションから「光」をテーマに約120点の作品を取り上げ、18世紀末から現代に至る美術家の表現の軌跡を紹介する展覧会だ。
会場では、「自然の光」や「室内の光」といった幾つかのテーマのもと、絵画や写真、インスタレーションなどを展示し、美術家が光をどのように表現してきたのかを紹介。「光の画家」と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーから、クロード・モネをはじめとする印象派の画家、光の実験を試みたバウハウスの写真家、そしてジェームズ・タレルやゲルハルト・リヒター、オラファー・エリアソンといった現代アーティストまで、さまざまな時代と地域で制作された作品を一堂に集めて展示する。
「自然の光」に着目する章では、ターナーや印象派の画家などを紹介。たとえばターナーが描く光は明確な輪郭を持たず、周囲の自然に溶け込むかのようだ。会場では、《湖に沈む夕日》のほか、日本初出品となる《光と色彩(ゲーテの理論)─大洪水の翌朝─創世記を書くモーセ》などを目にすることができる。一方、目に見える現実の世界を描こうとする流れのなか、印象派の画家は、変化する自然の光を捉えることを試みた。モネの《エプト川のポプラ並木》などには、周囲と溶けあう光のきらめきを見てとることができるだろう。
都市の近代化がいっそう進んだ19世紀末には、室内というプライベートな空間を描くことに美術家は関心を寄せた。窓から差し込む光の効果などを用いることで、画家は人の内面や心のつながりを表すことを試みたのだ。「室内の光」をテーマとする章では、暗めのトーンのなかに淡い光を効果的に用い、室内の静けさや空気の冷たさを表現したヴィルヘルム・ハンマースホイの《室内》などを目にすることができる。
「色と光」の章では、色の組み合わせが生みだす視覚的な効果を紹介。たとえば、バウハウスのヨーゼフ・アルバースは、色はその周辺の色との関係に応じて見え方が変化することに着目し、幾何学的な形態を用いて色と光の関係を探ったのだった。本展では、モホイ=ナジ・ラースローやワシリー・カンディンスキーといったバウハウスの作家に加えて、さまざまな色の幾何学的形態を規則的に配置することで鑑賞者に錯覚を覚えさせる作品を手がけたブリジット・ライリーなど、色同士の視覚的効果に着目した第二次世界大戦後の抽象画家も紹介する。
多様な表現が試みられている現代美術においても、光は重要な題材であり続けている。「広大な光」と題した章では、現代美術家が手がけるインスタレーションなどを展開。光をどのように経験するかという問いのもと、光が鑑賞者を包み込むインスタレーションを制作してきたジェームズ・タレルの作品などを紹介する。
企画展「テート美術館展 光 ─ ターナー、印象派から現代へ」
会期:2023年7月12日(水)〜10月2日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
※入場はいずれも閉館30分前まで
休館日:火曜日
観覧料:一般 2,200円、大学生 1,400円、高校生 1,000円
※内容は変更となる場合あり(最新情報については展覧会ホームページにて確認のこと)
■巡回情報
・大阪中之島美術館
会期:2023年10月26日(木)〜2024年1月14日(日)
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)