弱冠11歳でレゲエの神様ともいわれるボブ・マーリー(Bob Marley)にその才能を認められたという伝説的なフォトグラファー、デニス・モリス(Dennis Morris)。その後も、セックス・ピストルズ(Sex Pistols)、オアシス(Oasis)、レディオヘッド(Radiohead)、パティ・スミス(Patti Smith)など名だたるアーティスト達がその華々しいキャリアを彩ってきた。そんなデニスのスペシャル エキシビションが2013年7月19日(金) バーニーズ ニューヨーク新宿店で開催された。ファッション・プレスでは、イベントに合わせて来日した本人に突撃。写真についてはもちろん、アーティスト達との撮影秘話や、当時の音楽シーンについて話を聞くことができた。
写真は、私にとって自分自身を見つける手段。こう見えて私はとってもシャイで…実は今でもそうですよ。でもカメラを手にした途端、自分に自信が持てる。どんな人も自分の得意な分野であれば自信を持って堂々と立ち振る舞えるでしょう?これって本当に魔法のようですよね。
それは、やっぱり写真だったから。例えば女の子に声をかけるとかだったら無理ですね!
はい。ボブは、私にとって特別な存在。彼のおかげで写真への道を突き進めたといってもいいでしょう。何よりも、彼は私に自信をくれました。 ボブの音楽がたくさんの人の心に響くように、「君は写真家になる!」という彼の魔法のような言葉が私に写真家としてやっていく決心をさせてくれました。
彼の隣に座ることができてとても幸運だったと思っています。
いえ、そう思ったことはないです。私は学校で写真を学んだこともありません。一度、アートスクールに通ったのですが1年で追い出されてしまいましたよ!才能が無いと思われたようです。
でも、私は写真を純粋に撮りたいから撮っていた訳で、お金のためでも名声のためでもないので。それに、写真家であることの意義を見出せたのも、ずっとずっと後のこと。写真への才能は、神様がくれた贈り物だと思っています。
全く計画していませんでした。もともとは、ゴードン・パークスのようなフォトジャーナリストになりたかった。だから、ボブやセックス・ピストルズ(Sex Pistols)を撮るのにもルポタージュのテクニックを使っています。
*【Gordon Parks】ゴードン・パークスは著名な黒人写真家。人種差別や貧困などを訴えた。
ええ。ここに展示してある写真も、ほとんどスタジオを使っていません。セックス・ピストルズを撮る時はいつも自然光の下でしたし、ザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)の写真でスタジオを使ったものもあるのですが。その時も自然光に近いライティングにしています。
ザ・ストーン・ローゼズは友達だったのですが、彼らが僕のスタジオに来るんです。そうすると、一杯やりながら話したり、演奏したりなんかしながら、撮影を進めます。
セックス・ピストルズもそんなふうに。シド・ヴィシャス(Sid Vicious)がギターを持っている写真は、スウェーデンのホテルの一室で撮りました。ある朝私が彼の部屋のドアをノックして「やあ、写真撮らないかい?」ってね。それで部屋の椅子を動かして、カーテンを開けて。でも、スタジオで撮ったみたいでしょう?
ジョン(ジョニー・ロットン,Johnny Rotten)が手をかざしている写真は、マーキークラブのバックステージですし、ジョンがペプシを飲んでいるのはサウンドチェックの時に撮りました。多くのフォトグラファーたちがセックス・ピストルズの写真を撮ってきましたが、私の写真が特別なのは、彼らの真の姿を写しているからでしょう。
*【Marquee Club】マーキークラブはロンドンにあった伝説的なライブハウス。ザ・ローリング・ストーンズなどの人気バンドがそこでライブを行った。
そうですね。ファンの人たちは、写真を見ることでバンドやその人のパーソナリティを垣間見ることができるでしょうね。