そうですね。彼らとは、ロンドンのイーストエンドという同じ地区で育ちましたし、学校を出たら両親と同じような道は歩みたくない、何か人と違うことをしたい、という同じ考えを持っていました。これが我々パンク世代の考え。既存を打ち壊して新しいことをしようとしたのです。
とってもエキサイティングに聞こえると思いますが、苦労もしました。何よりお金になりませんでしたし。セックス・ピストルズの撮影は、お金を払ってもらったことがありません。でも完全に好きでやっていたことなので、それでよかったんです。
これはもう、私の才能でしょうね。どんな人とも仲良くなれるんです。例えば、日本の方と会話する機会もあって、私日本語を話せないのですが困ったことなんてありません。私は、ここ(胸を指しながら)から会話するので。だからミュージシャン達は私のことをフォトグラファーとして見ないのです。
この時、「君だって今までは緊張していたかもしれないけど、ほら。もうリラックスしたでしょう?」と優しく微笑んでくれた。その人の素を引き出し、途端に心を開かせてしまう。彼の言う通り、もはやこれは才能なのだろう。こうしてデニス・モリスにしか撮れない写真が生み出されるのだ。
1年ほどだったと思います。パンク自体、最盛期と言われる時代が2年くらいしか続きませんでした。すごく短い期間に爆発的なムーブメントを起こしたのです。ボブ・マーリーにしたってそう。多くの人が知らないと思いますが、彼の最盛期も4年ほどでした。でもたった4年で世界中を夢中にさせてしまったのです。
そうですねー。山ほどありますが、言えないくらいプライベートでちょっぴりダーティーなものもあるので…(笑)
多くのミュージシャンたちにはお酒も薬もセックスも付き物ですしね。
シド・ヴィシャスなんて自分のベッドルームをめちゃくちゃにしたことがありました。その時は恋人のナンシーも同行させてのツアー中で、ホテルに泊まっていたのですが、ある晩、シドが大変落ち込んで、すごく酔っ払っていた時がありました。私は彼の隣の部屋に泊まっていたのですが、突然部屋からけたたましい音が聞こえてきて!数時間後、大人しくなったので様子を見に行くと部屋が完全に破壊されていましたよ。その時の写真もあります。
でも、バンドってそういうもの。ミュージシャン達が部屋の窓からテレビを投げたりなんてことは、ざらにあります。彼らは、ステージの上では何千人もの観客の歓声を浴びるけど、ライブが終わって一人部屋に戻ると、その落差にやられてしまう。一気に奈落の底にドンっと落とされてしまった感覚でしょうね。それで我慢できなくなって、「ワァ―――――!!!!!」って。(笑) ほんとパンクって命がけでクレイジーなんですよ。
まあ私も人のことを言えません。酔っ払ってバーの高い塔のような所に上って「イエ――イ!!!!!」って叫んでいたことがあります。人間って、興奮しすぎると気持ち良くなって、自分がスーパーマンにだってなれる気がする時があるでしょう?アートや音楽に関わっている人は特にそうです。それで時々こうやってばかげた事もしてしまうのです。
それでも一貫して言えることは、成功をつかんだアーティスト達は、みんな自分を信じているのです。自分を信じて自信を持てば何だってできてしまいます。そのために自分をさらけ出して自由にすることが大切です。