1969年、トミー ナッターとエドワード セクストンが創業。
トミー ナッター率いるNutters of Savile Row(ナッターズ・オブ・サヴィル・ロウ)の展開するスーツのカッティングテクニックは伝説でありテーラードの世界に大きな影響を与えた。
トミー ナッター(Tommy Nutter)は1943年、ウェールズの生まれ。テーラー&カッターアカデミーにてテーラードを学ぶ。ナッターズのスタイルは、60年代のロンドンカルチャーやナイトクラブなどから大きなインスピレーションを受けている。60年代半ば、DONALDSONにてテーラーとしての経験を積む。ここでエドワード セクストンと出会う。
69年のバレンタインデー(2月14日)にセクストンと「ナッターズ・オブ・サヴィル・ロウ」をスタート。サヴィル・ロウのテーラーでは初めてオープンウィンドウ形式の店舗を構えた。
74年、トミー ナッターがキルガーのクリエイティブ・ディレクターに就任。
時代の象徴となるミュージシャンやが顧客に付き、ビートルズ、ローリングストーンズのメンバーが代表例。最も有名なものがビートルズのアルバム、「Abbey Road」のジャケット。横断歩道を歩くジョン・レノン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スターはナッターズのスーツを着ている。
ナッターズのスタイルはセンセーショナルそのもので、いわゆるスウィンギング・ロンドンスタイルのスーツを発表した。サヴィル・ロウの伝統的な技術を継承していたが、幅広めのラペル、フレアのパンツ、さまざまな素材を大胆にも取り入れるスタイルは他のテーラーとは全く異なるものであった。このスタイルは「Abbey Road」のジャケットにも見て取れる。
その他、89年の映画「バットマン」においてジャック・ニコルソン演じるジョーカーが着ていたスーツもナッターズのスーツだった。
日本との関連でいうと70年代後半から80年代にかけて、阪急との協業でメンズウェアのコレクションを展開した。
1992年、トミー ナッター死去(享年49歳)。これは1つの時代の終わりを象徴するかのような出来事だった。しかし、トミー ナッターのもとでテーラリングを学び、独立していったオズワルド ボーテング、ティモシー エベレストや、その他、リチャード ジェームズなどの新しいビスポークムーブメントの時代への突入も意味していた。彼らがトミー ナッターの影響を大いに受けていることは言うまでもない。