展覧会「東北へのまなざし 1930-1945」が、東京ステーションギャラリーにて、2022年7月23日(土)から9月25日(日)まで開催される。
1930年代から終戦にかけての日本は、写真などの視覚文化が到来し、近代的な生活文化が花開くなど、モダンとクラシック、都市と地方の両極で揺れ動いていた。そうしたなか、当時後進的な周縁と見なされてきた東北の文化に着目した人びとがいた。
たとえば、建築家ブルーノ・タウトや民藝運動を展開した柳宗悦らは、東北地方を訪れて建築や生活用品に注目した。また、考現学の祖として知られる今和次郎といった東北出身者も、故郷の人びとと暮らしを見つめ直し、戦中期の貴重な記録を残している。展覧会「東北へのまなざし 1930-1945」では、当時こうして東北に向けられた複層的な「眼」を通して、東北に育まれてきた豊穣な文化を再考する。
柳宗悦は、日用品が工業製品化されてゆく社会にあって、手工芸に「生活に即した」「健康的な」独自の美を見出し、1925年、「民衆的工藝」を略語化した「民藝」を提唱。1927年から1944年にかけては、20回以上にわたって東北を訪れた。後進的とみなされてきた東北は、柳にとっては「民藝の宝庫」であった。本展では、柳が東北各地で収集した蓑や刺子、陶芸などの品々に加えて、民藝に携わった芹沢銈介や棟方志功の作品も展示する。
昭和時代の旅行ブームとともに地方への関心が高まると、もともとは子どもが楽しむものであった郷土玩具は、大人の趣味・収集の対象となってゆく。そして1930年、童画家・武井武雄のコレクションを収めた『日本郷土玩具集』が出版されると、収集熱はいっそう高まることになった。会場では、宮城の堤人形や山形の相良人形などの「土人形」、福島の三春人情といった「張子人形」をはじめ、東北地方のこけしを系統別に展示し、郷土玩具の世界に光をあてる。
青森生まれの今和次郎は、1920年代以降、東北の近代化と生活改善にも注力した。また、都会の人びとの風俗を路上観察し、データを採集・分析する「考現学」を創始したことで知られており、弟の今純三はその手法を継承して郷里の暮らしに光をあてている。本展では、知的でユーモラスな今兄弟のスケッチを通して、東北の暮らしの風景を紹介する。
展覧会「東北へのまなざし 1930-1945」
会期:2022年7月23日(土)〜9月25日(日) 会期中に一部展示替えあり
[前期 7月23日(土)〜8月21日(日) / 後期 8月23日(火)〜9月25日(日)]
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
開館時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(8月15日(月)、9月19日(月・祝)は開館)
入館料:一般 1,400円、高校・大学生 1,200円、中学生以下 無料
※障がい者手帳などの持参者は100円引き(介添者1名は無料)
※最新情報やチケット購入方法については美術館ウェブサイトにて確認のこと
※開催内容は変更となる場合あり
【問い合わせ先】
東京ステーションギャラリー
TEL:03-3212-2485