東京・南青山の根津美術館では、重要文化財指定記念特別展「百草蒔絵薬箪笥と飯塚桃葉」を、2024年11月2日(土)から12月8日(日)まで開催する。
根津美術館が所蔵する《百草蒔絵薬箪笥》は、現在の徳島県にあたる阿波徳島藩の藩主、蜂須賀家に伝えられてきた薬箪笥だ。江戸時代中期、徳島藩の御用蒔絵師・飯塚桃葉(いいづかとうよう)によって作られたこの薬箪笥は、100種類もの植物や昆虫のモチーフを、蓋裏に精緻な蒔絵で表現している点が最大の特徴。このように、蒔絵史や薬学史などの観点から貴重な作例であるため、2024年、重要文化財に指定されることとなった。
特別展「百草蒔絵薬箪笥と飯塚桃葉」は、《百草蒔絵薬箪笥》が重要文化財に指定されたことを記念して開催される展覧会。同作の制作背景を、当時の美術と博物学の視点から紹介するともに、作者である桃葉の代表作をまとめて展示する初の機会となる。
重要文化財《百草蒔絵薬箪笥》は、蒔絵ばかりでなく金工においても当時最高の技術が駆使された大名道具である。会場では、その全容を紹介。薬用の草虫をそれぞれの名称とともに表した蓋裏はもちろん、器表と内部の抽斗前面にあしらったパッチワーク状の文様、さまざまな内容品などを目にすることができる。
《百草蒔絵薬箪笥》蓋裏に表された植物や昆虫を調べると、これらのモチーフの選定にあたっては、薬物の専門家が関わったことが推測されるという。本展では、その制作背景に着目。博物大名として知られた高松藩5代藩主・松平頼恭(まつだいら よりたか)の名により制作された、鮮やかな博物図譜などを展示する。
《百草蒔絵薬箪笥》を手がけた飯塚桃葉は、印籠を制作する蒔絵師として知られた名工であった。会場では、桃葉の代表作を一堂に集めて紹介。室町時代の名工・大坪道禅(おおつぼ どうぜん)の作とされる馬具に、桃葉が立体感あふれる蒔絵を施した《波涛蒔絵鞍》などを公開する。
重要文化財指定記念特別展「百草蒔絵薬箪笥と飯塚桃葉」
会期:2024年11月2日(土)〜12月8日(日)
会場:根津美術館 展示室1・2
住所:東京都港区南青山6‐5‐1
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(11月4日(月・振)は開館)、11月5日(火)
入館料:一般 1,500円(1,300円)、学生 1,200円(1,000円)、中学生以下 無料
※オンライン日時指定予約制(10月29日(火)より美術館ホームページにて受付。招待はがきなどで入館料無料の場合も要予約)
※( )内は障害者手帳の提示者および同伴者1名の料金
※当日券(一般 1,600円、学生 1,300円)も販売(予約優先。当日券での入館者は待つ場合あり。混雑状況によっては当日券を販売しない場合あり)
※予約は1グループ10名まで
【問い合わせ先】
根津美術館
TEL:03-3400-2536(代表)