企画展「生誕100年 松澤宥」が、長野県立美術館にて、2022年2月2日(水)から3月21日(月・祝)まで開催される。
松澤宥(まつざわ ゆたか)は、1922年に長野県下諏訪町で生まれ、同地を拠点に活動を続けた、日本を代表するコンセプチュアル・アーティストだ。初期には絵画やオブジェ作品を手がけていたが、1961年からは言葉を用いた作品を同時に発表、そして1964年、夢で聞いた「オブジェを消せ」という啓示をきっかけに、非物質化を志向して「観念」を展示する実験的な試みを重ねてゆくことに。60年代末から70年代にかけては、集団による表現活動を各地で展開していった。
企画展「生誕100年 松澤宥」は、松澤の生涯をたどる回顧展。芸術家としての原点である建築や詩から、初期に手がけられた絵画やオブジェ、そして1964年に啓示を受ける前後より発表された言語による作品やパフォーマンスまで、松澤の多彩な作品と活動を紹介する。加えて、伝説のアトリエ「プサイの部屋」の一部を再現するとともに、VRで体験できる展示も行う。
10代の頃から詩作に耽っていた松澤は、早稲田大学理工学部建築学科に進学。同校を卒業すると、1950年代前半には読売アンデパンダン展や美術文化協会展に絵画作品を出品し、渡米を経て、読売アンデパンダン展を中心に絵画やオブジェ作品を出品した。本展では、《プサイの鳥4》など、知られざる初期絵画やオブジェ作品を紹介する。
松澤は1964年、夢で「オブジェを消せ」という啓示を聞き、《プサイの死体遺体》という「非感覚絵画」を生みだした。これは、マンダラ構造の中に言葉が書かれたチラシを、展覧会の会場で配布するものであった。本展では、言葉による作品やパフォーマンスなどを概観。さらに、松澤がその生涯を通じて主張してきた「消滅」の概念にも着目し、松澤が目指した「観念美術」から「量子美術」までの展開をたどってゆく。
松澤の自宅にあるアトリエは、親交の深かった美術評論家・瀧口修造によって「プサイの部屋」と命名された。その空間は、自作のオブジェや松澤が収集したものに溢れ、松澤の芸術家としての創造の場であり続けた。会場では、「プサイの部屋」を一部再現するとともに、VRで体験できる展示を実施。加えて、1969年に東京の青木画廊で開催された、このアトリエの再現を試みた個展にも光をあて、「プサイの部屋」を多角的に紹介する。
企画展「生誕100年 松澤宥」
会期:2022年2月2日(水)〜3月21日(月・祝)
会場:長野県立美術館 展示室1・2・3
住所:長野県長野市箱清水1-4-4
休館日:水曜日(2月2日(月)・23日(月・祝)は開館)、2月24日(木)
開館時間:9:00~17:00(展示室入場は16:30まで)
観覧料:一般 800円(700円)、大学生・75歳以上 600円(500円)、高校生以下・18歳未満 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※東山魁夷館との共通料金は、一般1,300円、大学生・75歳以上1,300円
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者および付添者1名は無料
※会期などは変更となる場合あり(最新情報については美術館ホームページを確認のこと)
【問い合わせ先】
長野県立美術館
TEL:026-232-0052