展覧会「Transformation 越境から生まれるアート」が、東京のアーティゾン美術館にて、2022年4月29日(金・祝)から7月10日(日)まで開催される。
19世紀後半のマネや印象派に始まる近現代美術は、前衛的な美術動向の相次ぐ登場に彩られていた。その背景にあったのが、美術をめぐる国際化の進展──美術に関わる人やもの、情報の移動と流通が、国家や大陸を越えて活発になされる環境──であった。
展覧会「Transformation 越境から生まれるアート」では、国境を超えた作家や作品の移動、そして知見や評価の伝播といった「越境」に着目し、19世紀半ばから第二次大戦後までにかけてのヨーロッパ、日本、アメリカの美術を展望。ピエール=オーギュスト・ルノワール、藤島武二、パウル・クレー、そしてザオ・ウーキーという、活動の時期も地域も異なる4人の画家を中心に、各々の「越境」がもたらした「変化」に光をあてる。
19世紀のフランスでは、ヨーロッパ諸国の過去の美術についての研究が発展した。第1章では、諸国の美術館を訪れて先人の芸術との対話を重ね、自らの理想とする絵画を晩年に至るまで追求したルノワールを紹介。アーティゾン美術館のコレクション作品のみならず、《浴後の女》や《ルーベンス作「神々の会議」の模写》など、国内の美術館・所蔵家より借用した6点の優品も目にすることができる。
近代化が推進された明治期以降の日本では、西洋由来の油彩技法の受容が進んだ。第2章では、藤島武二を中心に藤田嗣治と小杉未醒ら3人の洋画家を取り上げ、西欧経験とその後の変化を探る。
パウル・クレーは、画業初期に同時代のフランス美術に影響を受け、バウハウスやシュルレアリスムといった同時代の芸術動向と呼応しつつ多様なイメージのもとに受容された。第3章では、クレーの創作上の変化のみならず、美術をめぐる異国間の関係の変容を反映する、クレー受容の多面性を紹介。また、アーティゾン美術館が2021年に新たに収蔵した、クレー《平和な村》とロベール・ドローネー《街の窓》も初公開となる。
ザオ・ウーキーは、第二次世界大戦後にパリに移った中国出身の画家だ。クレーの影響のもとで自身の様式を確立したウーキーは、同時代のフランスのアンフォルメルやアメリカの抽象表現主義など、世界の美術動向と交わり、その作風を変化させていった。第4章では、《水に沈んだ都市》や《無題》など、洋の東西を超越したウーキーの作品を展示する。
展覧会「Transformation 越境から生まれるアート」
会期:2022年4月29日(金・祝)〜7月10日(日)
会場:アーティゾン美術館 5階展示室
住所:東京都中央区京橋1-7-2
開館時間:10:00〜18:00(4月29日を除く金曜日は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日
入館料:ウェブ予約チケット 1,200円、当日チケット(窓口販売) 1,500円、学生無料(要ウェブ予約)
※日時指定予約制(3月1日(火)よりウェブ予約開始)
※ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でも当日チケットを販売
※中学生以下はウェブ予約不要
※内容は変更となる場合あり(最新情報については美術館ウェブサイトを確認のこと)
■同時開催
・ジャム・セッション 石橋財団コレクション×柴田敏雄×鈴木理策 写真と絵画─セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策
・石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 ピカソとミロの版画 ─教育普及企画─
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)