日伊国交樹立150周年記念「ティツィアーノとヴェネツィア派展」が、東京都美術館にて2017年1月21日(土)から4月2日(日)まで開催される。
ミケランジェロが嫉妬し、ルーベンスやルノワールも憧れた“画家の王者”ティツィアーノ・ヴェチェッリオ。神話の登場人物から教皇や貴族の肖像までを人間味あふれる姿で描き、ヨーロッパ中から人気を博した。彼の偉業は、後世の画家にも多大な影響を与えている。
本展は彼に光を当て、その真髄に迫る日本初の大規模展。ベッリーニ工房を中心に展開するヴェネツィア・ルネサンス初期、ティツィアーノの円熟期とヴェネツィア派の画家たちの時代、そしてティツィアーノ以後の巨匠たちの時代という流れに沿って、70点に近い絵画と版画を紹介する。
ルネサンス期のヴェネツィア美術の礎を築いたのは、ベッリーニ工房とヴィヴァリーニ工房。中でも、ヤコポ・ベッリーニに始まるベッリーニ工房は、息子ジェンティーレとジョヴァンニによって引き継がれ、数々の優れた画家たちが輩出された。ティツィアーノもその1人である。
第1章での見どころは、ティツィアーノ初期の代表作《フローラ》。つややかな肌を描き、イタリアの人々にこよなく愛されてきた花の女神を描いた作品である。単なる神話画というよりも女神に扮した娼婦の肖像、あるいは右手の薬指に指輪をはめていることから花嫁や結婚の寓意像とも解釈されている。
1510年にジョルジョーネが没した後、ヴェネツィア絵画の覇者となったのはティツィアーノであった。ベッリーニやジョルジョーネに学んだ繊細な色彩の諧調と光の表現に、力強さと抑揚を加え、新しい絵画の可能性を切り開いていく。
その色遣いと様式にミケランジェロが脱帽したといわれる日本初公開作品《ダナエ》は、第2章でじっくりと観賞したい作品のひとつ。アルゴス王アクリシオスの娘であったダナエを描いた本作は、彼女が魅力的な裸体を惜しみなくさらし、金貨の混ざった黄金の雨を恍惚としたまなざしで見つめている。官能的な一場面を想像力豊かに描き出した、次世代にも引き継がれる名画である。
ティツィアーノは長い画歴のなかで、次々と様式を変化させていった。後年には、筆致の荒々しさが増し、光と影の対比を強調した表現へと移行。その一方で、ヴェネツィアではティントレットやヴェロネーゼといった新たな絵画の担い手が誕生していく。
ヴェロネーゼは、ティツィアーノの評価を得て、ヴェネツィア派らしい華麗な色彩と古典的な造形をもって、物語場面を明快かつ祝祭的に描き出していった人物。第3章で展示される《聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者聖ヨハネ》は、彼の技量が遺憾なく発揮されている。聖女バルバラの金髪の輝きや豪華な衣服の光沢の表現は、ヴェロネーゼ芸術の真骨頂といえる。
また、2016年10月31日(月)までは、展覧会オリジナルのイタリア製本革パスケースとチケットがセットになった前売券も発売される。
東京都美術館内にあるフレンチレストラン「IVORY(アイボリー)」では、1月21日(土)から4月2日(日)までの期間限定で、『ティツィアーノとヴェネツィア派展』をイメージした特別コースを提供。ルネサンスの芸術都市として発展した水の都ヴェネツィアの郷土料理をIVORY風にアレンジし、伝統的なローストポーク「ポルケッタ」や、ヴェネト州の家庭料理「パスタ・エ・ファジョーリ」などを揃える。
日伊国交樹立150周年記念「ティツィアーノとヴェネツィア派展」
会場:東京都美術館 企画展示室
住所:東京都台東区上野公園8-36
会期:2017年1月21日(土)~4月2日(日)
開館時間:9:30~17:30(金曜日は20:00まで)
休室日:月曜日、3月21日(火)
※ただし3月20日(月・祝)、27日(月)は開室
観覧料:一般 1,600円(1,300円)、大学生・専門学校生 1,300円(1,100円)、高校生
800円(600円)、65歳以上 1, 000円(800円)
※()内は前売 / 団体料金
※団体割引の対象は20名以上
※中学生以下無料
パスケース付き前売り券(セブンチケットでのみ限定発売)
販売期間:9月28日(水)~10月31日(月)
販売価格:3,500円(税込)
※パスケースはピンク・ブルー・ブラウンからセレクト可能。
■IVORY ティツィアーノとヴェネツィア派展 期間限定特別コース
価格:4,000円+税
提供期間:1月21日(土)~4月2日(日)
販売店舗:東京都美術館内 フレンチレストラン「IVORY」
営業時間:11:00~17:30(展示期間の金曜は~20:00営業)
※第1・第3月曜は定休日
住所:東京都台東区上野公園8-36 東京都美術館交流棟1F
【問い合わせ先】
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)