奈良県立美術館では、開館50周年記念 企画展「富本憲吉展のこれまでとこれから」を、2023年7月8日(土)から9月3日(日)まで開催する。
富本憲吉(とみもと けんきち)は、日本の近代陶芸を牽引し、人間国宝にも認定された陶芸の巨匠だ。1886年(明治19年)奈良県に生まれた富本は、東京美術学校(現・東京藝術大学)図案科で学んだのち、ロンドン留学を経験。帰国後は図案を軸に活動を展開するも、やがて親友バーナード・リーチの影響で1913年(大正2年)に楽焼の制作を始め、ほぼ独学で陶芸の道を歩むようになった。
1963年(昭和38年)に没するまでの50年にわたる富本の陶業は、3つの時代に分けることができる。すなわち、楽焼制作に始まり、土焼や白磁、染付といったさまざまな創作をおこなった大和時代(安堵時代)、それまでに培った技術を洗練させるとともに、華麗な色絵磁器も発表した東京時代、そして金銀技法を完成し、華麗で品格を湛えた作品を手がけた京都時代である。その歩みは、独自の模様の創案、造形表現の探究、そして量産の試みといった課題に取り組むことでもあった。
1973年(昭和48年)に開館した奈良県立美術館は、富本の展覧会とともにスタートし、以後半世紀にわたって、継続的に富本の活動を取り上げてきた。このように多くの展覧会が開催されるなか、陶芸家としての業績ばかりでなく、デザイナーの先駆者としての側面や地方の窯業地での活動など、さまざまな視点から創作活動に光があてられている。
奈良県立美術館の開館50周年にあたり開催される企画展「富本憲吉展のこれまでとこれから」では、富本をテーマとする同館の展覧会歴をたどりつつ、富本の生涯と活動を紹介。大和時代の代表作である白磁壺や染付陶板、京都時代の金銀彩の代表作など、初期から晩年に至る名作を展示するとともに、富本が創作した模様のバリエーションなど、多方面にわたる活動にも着目する。
開館50周年記念 企画展「富本憲吉展のこれまでとこれから」
会期:2023年7月8日(土)〜9月3日(日)
会場:奈良県立美術館
住所:奈良県奈良市登大路町10-6
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(7月17日(月・祝)は開館)、7月18日(火)
観覧料:一般 400円(300円)、高校・大学生 250円(200円)、小・中学生 150円(100円)
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の所持者および介助者1人、65歳以上、外国人観光客および留学生などは無料
※土曜日は、小学・中学・高校生およびこれらに準ずる学校の児童・生徒は無料
【問い合わせ先】
奈良県立美術館
TEL:0742-23-3968