企画展「顕神の夢 ─幻視の表現者─ 村山槐多、関根正二から現代まで」が、神奈川の川崎市岡本太郎美術館にて、2023年4月29日(土・祝)から6月25日(日)まで開催される。その後、栃木・足利市立美術館や福岡・久留米市美術館などを巡回する。
人間を超越した「何か」にまつわる非合理的で直接的な経験が、表現者を触発する場合がある。明晰には捉えがたい「何か」への憧憬は、ある意味で信仰心の発露に喩えられるものの、しかしこれを求めて制作を行うほど、この「何か」は、表現者の手からこぼれ落ちてゆく。人間を超越した「何か」とは、表現者にとって、自らのもとにやってくるのを待つほかない対象であるといえる。
自己を超越した「何か」に表現者がふれるとき、時として、近代的な感覚からすると土俗的に思われる作品ができあがる。それは、合理性を求める近代化によっても捨象されることなく、根強く残った心情を示すものである。このように不可知の領域に根ざした作品は、既存の近代的な尺度で測ることはできず、いわば「霊性の尺度」によって読み直される必要があるのだ。
企画展「顕神の夢 ─幻視の表現者─ 村山槐多、関根正二から現代まで」は、人間を超越した「何か」と表現者の関係性に着目し、江戸時代から現在に至る日本の表現者の作品を紹介。関根正二や村山槐多、萬鉄五郎、古賀春江といった近代の洋画家や、中園孔二や内田あぐりをはじめとする現代作家など、約50作家による絵画や立体作品約140点を展示する。
会場は、全5章から構成される。たとえば第1章では、「何か」に憑かれるという「神懸り」の経験から生まれる作品に着目する一方、第2章では、常人では感知しえない「何か」を幻視する作家を紹介。終盤の第5章では、別次元の視点を介することで、「何か」をこの世界へと導く作品を展示する。
本展は、「霊性の尺度」を通して、近代的な尺度からこぼれ落ちる作品に光をあてるとともに、評価が定まった近代の作品やいまだ批評に開かれた現代の作品を測りなおすものだ。同時に、このように西洋的な美術史観とは異なる視点を設定することで、日本の美術史を捉えなおしてゆく。
企画展「顕神の夢 ─幻視の表現者─ 村山槐多、関根正二から現代まで」
会期:2023年4月29日(土・祝)〜6月25日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 4月29日(土・祝)〜5月28日(日) / 後期 5月30日(火)〜6月25日(日)]
会場:川崎市岡本太郎美術館 企画展示室
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日;月曜日(5月1日(月)のぞく)、5月9日(火)
観覧料:一般 1,000円(800円)、高校生・大学生・65歳以上 800円(640円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※本料金で常設展も観覧可
■巡回情報
・足利市立美術館
会期:2023年7月2日(日)~8月17日(木)
住所:栃木県足利市通2-14-7
・久留米市美術館
会期:2023年8月26日(土)〜10月15日(日)
住所:福岡県久留米市野中町1015
・町立久万美術館
会期:2023年10月21日(土)~12月24日(日)
住所:愛媛県上浮穴郡久万高原町菅生2番耕地1442-7
・碧南市藤井達吉現代美術館
会期:2024年1月5日(金)~2月25日(日)
住所:愛知県碧南市音羽町1-1
【問い合わせ先】
川崎市岡本太郎美術館
TEL:044-900-9898