企画展「山城知佳子 ベラウの花」が、香川の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて、2023年3月21日(火・祝)から6月4日(日)まで開催される。
山城知佳子(やましろ ちかこ)は、1976年沖縄に生まれ、同地に在住する映像作家・美術家だ。写真と映像を軸に制作を行う山城は、初期から一貫して、沖縄に暮らすことで意識される事象に向き合った作品を手がけてきた。
山城は近年、政治や社会、文化、自然環境といった多様な側面から現在の沖縄にアプローチしつつ、過去と現在とを往還する物語性の高い作品を制作している。そこでは、さまざまな文脈が複雑に絡みあう現実を題材としながら、その複雑さをそのままに扱うことで物語の豊かさへと転換し、独自の強度を備えた作品に結実しているといえる。
企画展「山城知佳子 ベラウの花」は、西日本初となる山城知佳子の大規模個展。2004年の「オキナワTOURIST」3部作から2023年の新作《ベラウの花》まで約20点の作品を集め、その活動の軌跡と現在地に光をあてる。
本展に合わせて制作された新作《ベラウの花》は、パラオ共和国でのリサーチに基づく作品だ。「ひとりの老人は、目の前の風景をどのように見ているのか」を想像する糸口を手にするため、山城は老人が幼少期を過ごしたパラオに赴き、各所の慰霊碑、戦車や司令部といった戦跡、学校、病院跡地などでリサーチを行っている。同作において山城は、老人の記憶をたどりつつ、山城自身の視点を重ね合わせた映像によって、新たな記憶のフィクションを紡ぎだすことを試みる。
また、本展では、2019年に発表された代表作《チンビン・ウェスタン 家族の表象》から新作まで5点の映像を、相互の結びつきに着目したインスタレーションとして展開。それぞれの作品の音も意図的に混合することで、個々の作品が有する時間と空間を拡張してゆく。
企画展「山城知佳子 ベラウの花」
会期:2023年3月21日(火・祝)〜6月4日(日)
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 3階展示室C
住所:香川県丸亀市浜町80-1
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日
観覧料:一般 950円(760円)、大学生 650円(520円)
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※高校生以下や18歳未満、丸亀市在住の65歳以上、各種障害者手帳の所持者および介護者1名は無料
※常設展の観覧料を含む
■関連プログラム
アーティスト・トーク
日時:2023年3月21日(火・祝) 14:00〜
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 2Fミュージアムホール
料金:無料
※申込不要、定員170名
■同時開催
・常設展「猪熊弦一郎展 小さな丸」
観覧料:一般 300円(240円)、大学生 200円(160円)
※企画展の観覧料は別途
※画像の無断転載を禁ずる。
【問い合わせ先】
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
TEL:0877-24-7755