企画展「石と植物」が、滋賀県立美術館にて、2022年9月23日(金・祝)から11月20日(日)まで開催される。
人間にとって身近な自然物である石と植物は、いずれも芸術においても重要な素材であり、モチーフであり続けてきた。企画展「石と植物」では、石と植物に着目し、滋賀県立美術館のコレクションを中心に絵画や版画、彫刻、写真、工芸など、さまざまな作品を紹介。素材やモチーフという芸術における基礎的な観点から、風景や自然、そして島や星と、人びとを取り巻く環境にまで視野を広げてゆく。
たとえば第1章では、芸術の素材として、そしてモチーフとしての石と植物について紹介。フランスの彫刻家コンスタンティン・ブランクーシは、同じフォルムの彫刻を大理石や木材、金属などで制作し、素材の違いで現れる変化を模索した。また、油彩画に用いられている油絵具には鉱物の粉が使用される場合があるほか、日本画に用いられる岩絵具も鉱石などの石を砕いて作られるものだ。すると、川の流れと川底の石を岩絵具などで描いた猪田青以の《流れ》は、砕かれて素材となった石が、あらためて画中のモチーフとしてあらわれているといえる。
第3章では、石や植物そのものではなく、その存在のなかにある詩情、あるいはそれらを抽象化した表現に着目。李禹煥の《点より》は、連続する点をカンヴァスに描いた作品であり、これは石を素材とする岩絵具と、麻布から作られたカンヴァスという2つの素材のシンプルな関係から、それぞれの存在の再考へと誘うものだ。また、東加奈子は《Eternal beloved》において、文化と密接に関わる蘭を取り上げ、人間と植物の関係を考察している。
第4章では、スケールを変化させたときに現れる、石や植物の表情がテーマ。岡田修二の《水辺 15》や酒井栄一の《岩はだ》では、植物の芽や葉、石の表面といった細部に焦点を合わせ、それを拡大して表現に取り入れてる。一方、田中孝の《Tree》では、木という大きな存在が縮小されている。このように、普段とは異なるスケールで対象を見つめることで得られる印象や視座に光をあてる。
また、本展では、滋賀県立美術館のコレクションばかりでなく、ゲストアーティストによる作品も紹介。信楽の陶芸家として知られる神山清子、日常生活において制度や構造に隠された秩序や認識に着目し、人びとの認知を問い直すことを試みる松延総司、人間や社会と自然との関係に着目した作品を手がける東加奈子の3人を迎える。
さらに、一部の作品では、滋賀県立琵琶湖博物館の協力のもと、素材そのものについてのより詳しい解説も用意する。
企画展「石と植物」
会期:2022年9月23日(金・祝)〜11月20日(日) 会期中に一部展示替えあり
会場:滋賀県立美術館 展示室3 ほか
住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(10月10日(月・祝)は開館)、10月11日(火)
観覧料:一般 950円(800円)、高校・大学生 600円(500円)、小・中学生 400円(300円)、未就学児 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※展示室1・2で同時開催している常設展も観覧可
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の所持者は無料
※内容は変更となる場合あり(詳細については美術館ホームページを確認のこと)
■出品作家
東加奈子、井田照一、猪田青以、茨木杉風、岩下哲士、植松奎二、江馬天江、岡田修二、小沢剛、小幡正雄、加納光於、加納凌雲、岸竹堂、木下恵介、クリスト&ジャンヌ=クロード、黒田重太郎、幸野楳嶺、神山清子、酒井栄一、菅井汲、杉田静山、関根伸夫、田中孝、車季南、土田麦僊、塔本シスコ、冨田溪仙、中路融人、イサムノグチ、野口謙蔵、野添平米、野村仁、ケネス・ノーランド、コンスタンティン・ブランクーシ、松延総司、森口華弘、山口華楊、山口牧生、山﨑與嗣夫、李禹煥、若月公平、若林奮
■ゲストアーティスト
神山清子、松延総司、東加奈子
【問い合わせ先】
滋賀県立美術館
TEL:077-543-2111 (電話受付時間 8:30~17:15)