企画展「生誕150年 山元春挙」が、滋賀県立美術館にて、2022年4月23日(土)から6月19日(日)まで開催される。その後、岡山の笠岡市立竹喬美術館、富山県水墨美術館を巡回する。
山元春挙(やまもと しゅんきょ)は、明治から昭和初期にかけて活躍した円山四条派の日本画家だ。竹内栖鳳とともに京都画壇を代表する重鎮であり、その多くの作品が宮内庁御用画となったばかりでなく、1917年(大正6)には、帝室によって優れた美術工芸家を顕彰・保護することを目的とした「帝室技芸員」にも任命されている。
春挙の作品は、力強く壮大な画風と華やかな色使いに特徴付けられる。写真や科学技術に関心を抱き、油彩画の技法にも着目するなどしながら、ダイナミックで華麗な風景画を手がけたのだった。
企画展「生誕150年 山元春挙」は、山元春挙の初期から晩年に至る画業をたどる回顧展。滋賀県立美術館のコレクションと日本各地の優品を合わせて約80件を、3章構成で紹介する。
1872年(明治4)、現在の滋賀県大津市に生まれた山元春挙は、四条派の野村文挙に入門し、その後「明治の応挙」と称された森寛斎に師事、若くして画壇にデビューした。第一章では、明治20年代から30年代前半にかけての初期の画業に着目。《西王母之図》のように、中国の故事や伝承に題材をとった作品が数多くみられる一方、《海浜風物図》や《深山雪霽鹿》などには、山水画の様式を反映しつつも、のちの春挙の作風を彷彿とさせるダイナミックな風景表現も見てとることができる。
早くから頭角を現していた春挙は、1901年(明治34)、京都美術協会主催の新古美術品展に出品した《法塵一掃》により一等二席を獲得、その評価を高めてゆくこととなる。1904年(明治37)には渡米の機会を得、これを活かして《ロッキーの雪》を制作。ダイナミックで写実的な雪景の描写は、これまでのやや様式的な風景表現からの新しい展開となった。そして1908年(明治41)の文展では《雪松図》を、翌年には《塩原の奥》を出品、いずれも政府買い上げになるなど、画壇での地位を確実なものとしていった。そして1913年(大正2)の文展に出品された《春夏秋冬》では、それまでの落ち着いた色合いから、鮮やかな画面への変化を見てとることができる。第二章では、明治30年代後半から大正前期に至る春挙の創作の展開を紹介する。
1917年(大正6)、春挙は当時美術工芸界最高の名誉とされた帝室技芸員に任命された。以後、《山上楽園》や 《春の海》、《しぐれ来る瀞峡》、そして《瑞祥》など、山岳や水辺を壮大で華やかな色彩で写実的に描いた風景画を描き、充実した創作活動を行なった。第三章では、帝室技芸員に任命されてから晩年までの作品を紹介する。
企画展「生誕150年 山元春挙」
会期:2022年4月23日(土)〜6月19日(日) 会期中に展示替えを実施
会場:滋賀県立美術館 展示室3
住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
観覧料:一般 1,200円(1,000円)、高校・大学生 800円(600円)、小学生・中学生 600円(450円)
※( )内は20名以上の団体料金
※展示室1・2で同時開催している常設展も観覧可
※身体障害者手帳などの所持者は無料
※内容は変更となる場合あり(最新情報については美術館ホームページを確認のこと)
■巡回情報
・笠岡市立竹喬美術館
会期:2022年7月16日(土)~9月4日(日)
住所:岡山県笠岡市六番町1-17
・富山県水墨美術館
会期:2022年9月16日(金)~11月6日(日)
住所:富山県富山市五福777
【問い合わせ先】
滋賀県立美術館
TEL:077-543-2111 (電話受付時間 8:30~17:15)