東京・上野の国立西洋美術館では、ドイツ・フォルクヴァング美術館とのコラボレーションによる展覧会「国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」を、2022年6月4日(土)から9月11日(日)まで開催する。
国立西洋美術館が、2022年4月9日(土)にリニューアルオープン。これを記念して開催される展覧会「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」では、両館のコレクションより、ドイツ・ロマン主義から印象派、ポスト印象派、20世紀絵画に至る100点超の絵画や素描、版画、写真などを紹介する。
本展で着目するのは、近代西欧における自然への感性と芸術表現の展開だ。産業や科学といったさまざまな分野で急速な近代化を遂げた19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパでは、芸術家も新たな知識とまなざしをもって自然と向き合い、多彩な作品を生みだした。4章から構成される本展では、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ、クロード・モネ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・セザンヌ、そしてゲルハルト・リヒターなどの作品から、自然をめぐる表現をたどってゆく。
19世紀の戸外制作の画家たちは、移ろう自然を自らの感覚に基づいて捉えようと試みた。I章では、絵画空間に現実の時間を流れ込ませることを目指した風景表現を、印象派作品を中心に紹介。変化してやまない空の光と大気を描こうとしたウジェーヌ・ブーダンの《トルーヴィルの浜》、描かれる人までも移ろいゆく風景と化したクロード・モネの《舟遊び》、そして写真をもとに雲を描いたゲルハルト・リヒターの《雲》などを目にすることができる。
II章では、芸術家の心象や観念に結びついた自然表現に着目。ドイツ・ ロマン主義を代表するカスパー・ダーヴィト・フリードリヒは、無限の自然に対峙する人間の姿を繰り返し描いており、《夕日の前に立つ女性》にも自然の力に対する人間の感動と憧憬を見て取ることができる。また、マックス・エルンスト《石化した森》をはじめ、目に見えるものを超えた世界を探ろうとした作品の数々も目にすることができる。
ポール・セザンヌは自然がもたらす感覚を絵画空間に実現しようと試みる一方、ポール・シニャックは光学理論に基づいて点描技法を編みだし、のちにはより自由で豊かな色彩表現へと向かった。III章では彼らのように、移ろう自然のなかから永続的な構造や法則を抽出し、新たな造形表現へと結びつけようとした試みを紹介。自然を霊感源とし秩序とリズムが支配する画面を構築したピート・モンドリアンのほか、近年国際的な評価が高まりつつあるフィンランドの国民的画家アクセリ・ガッレン=カッレラなどにも光をあてる。
IV章では、自然のなかに現れる循環的な時間に人の生を重ね合わせた作品を紹介。なかでも、フィンセント・ファン・ゴッホが晩年に手がけた風景画の代表作《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》は初来日となる。そのほか、自然を力強い筆触と色彩で描いたエミール・ノルデの《木材の積み込み I》や、平面的な構成ながらも重層的な絵画空間を湛えたクロード・モネの《睡蓮》などを目にすることができる。
企画展「国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」
会期:2022年6月4日(土)〜9月11日(日)
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は20:00まで)
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)、8月15日(月)は開館)、7月19日(火)
観覧料:一般 2,000円、大学生 1,200円、高校生 800円
※中学生以下、心身障害者および付添者1名は無料(入館時に学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳を提示)
※入場方法などについての詳細は、後日公式ウェブサイトなどにて発表
※展覧会概要は変更の可能性あり(最新情報については公式ウェブサイトを確認のこと)
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)