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映画『生きてるだけで、愛。』趣里・菅田将暉が描く不器用な男女の物語、本谷有希子の芥川賞候補作を映画化

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本谷有希子の小説『生きてるだけで、愛。』が、主演に趣里、菅田将暉、田中哲司ら俳優陣を迎え映画化。2018年11月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショーとなる。

芥川賞・三島賞候補作を映画化

原作は、本谷有希子の同名小説だ。芥川賞・三島賞候補作となった『生きてるだけで、愛。』で描かれるのは、自分の思いを言葉にして伝える術を持っていない1組の男女の物語。不器用な男女の愛と、不安、期待を切り取り、他者とのつながりをもとめる現代の若者たちのリアルに迫る。

不器用な男女の愛の物語

菅田将暉 インタビュー|写真5

主人公の寧子(やすこ)は、過眠症で引きこもり気味なヒロイン。恋人の津奈木(つなき)と同棲しているが、自分の感情をコントロールできず、日々彼に理不尽な感情をぶつけてしまう。

愛されることも愛することにも不器用な寧子をそばで見守る、津奈木。しかし、彼もまた別の感情を抱えていた。出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れる日々だが、仕事へのやりがいは感じていない。人間関係に何も期待をしていない津奈木は、寧子に対して怒りもなければ喧嘩をすることもない。そんな津奈木の態度に苛立ったり、時には涙を流して寄りかかってくる寧子。津奈木は寧子をただ黙って見守り、背後から抱きしめる日々を過ごしていた。

趣里・菅田将暉が恋人役に

ヒロインを演じるのは、ドラマ「ブラックペアン」で看護婦・猫田麻里役を演じた女優・趣里だ。恋人役の津奈木には、映画『銀魂』シリーズ、『となりの怪物くん』『あゝ、荒野』と出演作が続く、俳優の菅田将暉が選ばれた。

ヒロイン寧子役・趣里にインタビュー

菅田将暉 インタビュー|写真17

寧子と出会って感じた、自分の過去と向き合う大切さ

ドラマや舞台でその演技力を名実ともに確かなものにしつつある趣里。今回は主演作、さらには出演してみたかったという本谷有希子の作品だ。これまでの作品とは違う、強い想いを抱きながら挑んだという。

そんな彼女にインタビューを実施。過眠症で引きこもり気味、ちょっと風変わりなヒロイン寧子は、趣里自身の人生観にも衝撃を与えることとなったようだ。

過眠症で引きこもり気味の寧子。映画のヒロインとは似つかわしくない個性的な役柄でしたね。

台本を最初に読ませて頂いた時には、エキセントリックな性格で心が弱い子のように見えました。でも、読み込んで彼女のことを考えれば考えるほど、その印象は変わっていって。本質的には芯の強い人だなと思うようになりました。

というのも、寧子は、周りから少し風変りだと思われていることは分かっていて「そんな自分を変えたい」ともがいている。寝坊をしながらもアルバイトを続けようと頑張ったり、上手く自分を表現できないのにアルバイト先の人と食事をしたりする。

私自身、自分を変えていく事は難しいと感じるので、現状を抜け出すために苦しいことに立ち向かって努力をする寧子に魅力を感じていきました。

彼女の想いに共感できる部分があったのですね。

きっと彼女の悩みは、誰にでも当てはまることだと思うんです。だから、寧子という役を通して「私の人生の中で同じような経験はなかったかな、その時どんな風だったかな」と思い出してみました。

菅田将暉 インタビュー|写真3

趣里さんにとってはどのような経験でしたか?

幼少期から高校生までバレエをしていたのですが、大きなケガをしてしまいバレエを続けられなくなってしまったことです。今考えれば、その時が一番つらかった時期だなと思います。辞めたくなくて、本当にしんどくて、これからどうしようかと悩みました。

辛い時期は、「タイツとかレオタードとか絶対見たくない!」とさえ思っていたのですが、やはり、舞台から見るお客さんの笑顔が忘れられなかったです。悩んだ末、前を向こうと思った時、映画や舞台といったエンターテインメントに何度も救われたことを思い出しました。そして、違うかたちでも舞台にもう一度立ちたいと思い、お芝居のレッスンを受けました。

お芝居という違う世界に飛び込むわけですが、うまく向き合えていたのでしょうか。

いざレッスンを始めてみると、表現方法でバレエと通じるものがありました。特に、舞台は身体的な表現もあるし、バレエをやっていてよかったと実感することも多くありました。
もしかすると、今になって改めて振り返ってみたからこそよかったと感じられるのかもしれませんが、今では純粋にバレエを見たいとまで考えられるようになりました。

役作りで当時を振り返ったわけですね。

その振り返りが、役作りと言ってしまえばそうなのかもしれませんが、寧子を演じるにあたっては今まで演じてきた役よりも、強い想いがあったのは確かです。撮影に入るまで半年ほどの期間、“どう演じよう”ではなく、ただただ彼女のことを大切な友達や家族のように想ったり、今まで自分が苦しかった経験を振り返り、自分自身とも向き合いました。

『生きてるだけで、愛。』を通して趣里さんにとって、ネガティブだった経験が肯定的なものに変わったのでしょうか。

言葉にしたら恐らくそういうことです。今まで「あれはなくてもいい経験だったんじゃないか」と感じていた辛かったことも、結局は今の私の糧になっているのだから、目を背けずに肯定していこうと、前向きに捉えられるようになりました。

「あれは経験しなくてもよかったことなんだ」と思えば思うほど、きっと心が苦しくなる。けど、実際は経験しなくてよかったことなんてなくて、“過去の自分がいるから、今の自分がいるんだ”と、人としても女優としても前に進めた気がします。最初は、もがいている寧子を救いたいと感じていたのに、彼女を想うことでいつの間にか私が救われることにもなりました。

菅田将暉 インタビュー|写真16

『生きてるだけで、愛。』を通して感じた、女優業をこなす上でも大切なこと

寧子に出会い、自分の過去を見つめ直すことで、救われたという趣里。そんな彼女は、今回の作品を通して感じた人間にとって大切なことについて、それは女優業の中でなくてはならないものだと話す。

寧子だけでなくて、その恋人である津奈木も人と接するのが苦手で、不器用な人間。彼とのやり取りも印象的でした。

『生きてるだけで、愛。』の登場人物は、自分の気持ちを表現するのが下手だから、もどかしくて胸が苦しくなりました。物語の中で、寧子は津奈木を頼り切っているし、彼がいるから生活が成り立っている状況。そして津奈木もまた、寧子にどこか頼っている部分がある。それなのに、2人とも上手く自分の気持ちを伝えられないジレンマがありました。

恋人同士なのに上手く気持ちを伝えられない2人のやりとりに対して、どのように感じましたか。

彼らの会話や仕草が、人間にとって大切なことを教えてくれる気がしました。それに、上手く気持ちを伝えられないことって、私も感じることがあって、2人のぎこちないやり取りは、なんだか身近にも感じました。

大切なこととは、例えばどういったことでしょうか。

彼らほどではなくとも、誰かと繋がって生きていくことは皆に当てはまることです。時には、自分の心に自意識をしまっておかなければいけない時はあるけど、むずがゆさを感じながらも人と繋がっていくことは大切。人と人との繋がりで社会は成り立っていて、人は一人では生きているのではないと自覚しなければいけないなと思いました。

菅田将暉 インタビュー|写真9

女優をしていても、人との繋がりが大切だと感じることはありますか。

演技は会話で成り立つものだから、お芝居をしていると尚のことですね。自分がいて、相手がいて、監督さんがいて、スタッフの皆さんがいて。もっと言えば、人だけじゃなくて、大道具さんや小道具さんたちが設営してくれる撮影風景もそうです。

アプローチの仕方は人それぞれだし、相手からの影響をうけて心が揺れ動くのがお芝居。現場に入ってみて、自分の感覚をみんなの感覚とすり合わせた時にどんなコトが起きるだろうってワクワクします。

その自分の感覚を確立するためには、今回そうだったように役について考える時間が必要ですよね。

そうですね。でも、それは現場に入るまでにしておかなければいけない当たり前のことだと思います。現場に入った時誰かと接しながら、演じる役は完成していくものだと思っています。

会話の中で役が完成していくとは。

人と会話をすることで、これが楽しくて、これが喜びで、これが悲しみで……という、自分の感覚を実感していけるんじゃないかなって思います。自分の気持ちを分かった上で、現場での空気を読み取っていけば、自然体の自分を出せるお芝居に繋がっていく。演技って、どんな人を演じたとしても、その俳優の人となり、本質のようなものが出てしまうものだと思うので。

菅田将暉 インタビュー|写真12

趣里さんが、演技をする上で大切にしていることはありますか。

共演者さんたちの感情と撮影場所、その双方から得られるものがたくさんある中で、自分の役割や撮影シーンの目的を考えて、自然な雰囲気を作っていけることが一番大事だと思っています。自分が役に向き合った土台があるのを前提に、現場で人と繋がり、反応しあうことで、作品が完成していく。それが、演じることの楽しさでもあると感じています。

人との繋がりの延長線上に、演技の楽しさが見えてくるのですね。

全然違う人生を歩む人たちが集まって、反応しあうことで物語ができていくってとても面白い。お芝居は、見る人の捉え方が違うのはもちろん、作る側も捉え方が違う人が集まっているものだから、監督はじめキャスト、スタッフの皆さんの想いを乗せた1カット1カットが存在する。だからこそ、作品がとても愛おしく感じられるんですよね。

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