ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)のデザイナー・山本耀司と、アーティスト・朝倉優佳による展覧会『「画と機」山本耀司&朝倉優佳』が、東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。期間は、2016年12月10日(土)から2017年3月12日(日)まで。また、クロージングイベントとして3月12日(日)にダンサーの田中泯が展示室を舞台にパフォーマンスを行う。
2016年春夏メンズ&ウィメンズコレクションからスタートした山本と朝倉のコラボレート。洋服に直接ペイントが施されたもの、絵画作品を生地自体にプリントしたものなどあらゆる表現を用い、“画と機”の世界をマッチさせる試みを繰り返してきた。
「画と機」は山本が兼ねてから熱望していた絵画を中心とした展覧会。2016年2月頃に発表され、設営するギリギリまで製作に時間を費やした沢山の作品が会場を彩っている。展示されている作品が全てではなく、これまで2人が作ってきたものは、山本が20作以上、朝倉が70作以上と膨大なもの。そこから山本と朝倉が相談をしながら、展示するものや順序、高さ、関係性を考慮し配置が決定している。
大きく分けて3つのゾーンに分かれている会場。本展の裏テーマである“いつも手遅れ”と書かれた入り口を抜けると、薄暗い空間が現れる。中央には、ガラスにオイルクレパスで描かれた作品が置かれ、壁には山本による女性の絵画が掲げられている。ガラスの作品は両面にペイントが施されているのだが、これは片面ずつ山本と朝倉が担当したもの。20年以上前に、購入したという海外の少数民族の写真からインスパイアされた配色になっている。
次の空間へとつながる部分には、2つの印象的な絵画が。奥の壁面には、ブルーの鮮やかな印象に白い2人の女性が横たわっている。周りに描かれているのは、世界中の美しい花や鳥を集めたような世界。その世界は、女性達の肌に刻まれたタトゥーが外側の世界へと広がったようなもので、溢れ出る美が画角いっぱいに埋め尽くされている。
また、通路の脇に立てかけられた敬礼する男性の絵は、山本耀司の父を描いたもの。彼が物心つく前に、戦死しており、親族が亡くなるということや父の存在を認識できる前の出来事だったこともありあまり触れられていなかったが、その姿を想い起こし、絵を通して面会したことで一層思い入れの深い作品となっている。
次の空間に行くと、一変して明るく広い世界に。右手には、針金と流木でできたマネキンに、2017年春夏を含む最近のコレクションのアイテムが着せられている。その周囲を取り囲むように壁に展示されるているのが、朝倉のものを中心としたたくさんの絵画。山本のポートレートや、足だけを描いたもの、抽象画など空気感を統一しながらも、多彩な作品が並ぶ。
山本と朝倉の作品は、これといった規則はなく並べられているのだが、そこには個性がありながらも共通するものがあり、どちらが描いていてもおかしくないような作品も多数存在する。それは制作活動にあたり、2人が互いに影響しあいながら、展覧会に向けたアート活動を行ってきたことが伝わる。
さらに先に進むと、白と黒でできた屏風が現れる。これは息子が友人を家へ連れて来た際に、敷居となるものがないことへの不満を感じたことが出発点で、アクリル絵具を中心とした画材で、人の姿などが描かれている。さらに進むと桜の絵が現れ、一際存在感を放っている。