展覧会「激動の時代 幕末明治の絵師たち」が、東京・六本木のサントリー美術館にて、2023年10月11日(水)から12月3日(日)まで開催される。
江戸時代から明治時代へと移り変わる19世紀には、日本絵画の伝統を受け継ぎつつ、新たな表現を試みた絵師が活躍した。この時代、黒船の来航、安政の大地震、あるいは討幕運動といった混沌とした世相を反映するかのように、劇的で力強い描写や怪奇的な画風などが生まれている。また、西洋美術を受容した洋風画や、伝統に新たな創意を加えた作品も手がけられた。
幕末明治期の絵画は、近世と近代という時代の狭間にあって、かつては重視されてはいなかった。しかし近年、近世から近代への連続性に着目する視点から、この時代は個性的な絵師が活躍した時代として注目されている。展覧会「激動の時代 幕末明治の絵師たち」では、幕末明治期に独創的な作品を手がけた絵師や、変革を遂げた画派の作品を紹介する。
19世紀の江戸では、浮世絵をはじめ、さまざまな絵画が手がけられていた。なかでも、当時画壇に君臨していた狩野派は、単に伝統を受け継ぐばかりでなく、琳派や西洋画法なども取り入れた作品を生みだした。一方、江戸時代後期の文人画を代表する谷文晁(たに ぶんちょう)の一門からは、流派にとらわれない表現に挑んだ絵師が輩出されている。本展の序盤では、19世紀江戸において二代流派をなしていた狩野派と文晁一門を中心に取り上げ、狩野一信《五百羅漢図》や渡辺崋山《ヒポクラテス像》といった作品を展示する。
近世から近代への日本美術の展開において、西洋画法の受容を見過ごすことはできない。鎖国下でも、蘭学が盛んになった江戸時代中期には、陰影法や遠近法といった西洋画法を取り入れた洋風画が描かれるようになっている。そして、幕末の洋風画家・安田雷洲(やすだ らいしゅう)は、緻密な銅版画を得意とし、独特の洋風表現による肉筆画を手がけた。会場では、雷洲を中心に、幕末における洋風画の試みに光をあてる。
浮世絵は、もともと役者絵や美人画が中心であったものの、19世紀には葛飾北斎や歌川広重の登場により、風景画や花鳥画といった新しいジャンルが発展することになった。幕末には、武者絵で名を博した歌川国芳が、風刺的な戯画や、三枚続きの画面を活かした斬新な構図など、新機軸を打ち出している。また、メディアの役割を果たしていた浮世絵は、黒船来航や横浜開港といった当時の時事的な話題も取り上げている。本展の後半では、幕末に一大勢力となった歌川派の絵師に着目し、歌川芳艶《両賊深山妖術競之図》や五雲亭貞秀《横浜異人商館座敷之図》などの作品を紹介する。
展覧会「激動の時代 幕末明治の絵師たち」
会期:2023年10月11日(水)〜12月3日(日) 会期中に展示替えあり
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア 3F
開館時間:10:00〜18:00
※金・土曜日、11月2日(木)・22日(水)は20:00まで開館
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:火曜日(11月28日(火)は18:00まで開館)
入館料:当日券 一般1 ,500円(1.300円)、高校・大学生 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※20名以上の団体は100円割引
※( )内は前売料金
※前売券は、7月22日(土)から10月10日(火)まで、サントリー美術館受付、サントリー美術館公式オンラインチケット、ローソンチケット、セブンチケットにて販売
【問い合わせ先】
サントリー美術館
TEL:03-3479-8600