⽇本⼈の⺟とイギリス⼈の⽗を持ち、ロンドンで暮らすニキ。⼤学を中退し作家を⽬指す彼⼥は、⾃著執筆のため、異⽗姉の死以来⾜が遠のいていた、⺟が1⼈で暮らす郊外の実家を訪れる。⺟の悦⼦は、⻑崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは⺟の過去を何ひとつ聞いたことがない。夫と⻑⼥を亡くし、想い出の詰まった家で1⼈暮らしていた悦⼦は、ニキと数⽇間を共にする中で、最近よく⾒るという、ある「夢」について語り始める。それは、まだ悦⼦が⻑崎で暮らしていた頃に知り合った、とある⼥性と、その幼い娘の夢だった……。
映画『遠い山なみの光』は、ノーベル⽂学賞受賞作家 カズオ・イシグロのデビュー小説を実写化した作品。主演は広瀬すず。1980年代のイギリスと、戦後間もない1950年代の⻑崎を舞台に、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解くヒューマンミステリーとなっている。監督は、『蜜蜂と遠雷』や『ある男』で知られる石川慶が務める。