アトリエシムラ(atelier shimura)は2016年にスタート。
アトリエシムラ(atelier shimura)は2016年にスタートした日本の紬織(つむぎおり)ブランド。着物や帯を中心に、ストール、お茶道具、小裂(こぎれ)の額装や小裂の御朱印帳を扱う。
染織家 志村ふくみ(人間国宝、文化勲章受章者)と、染織家 志村洋子の芸術精神を受け継ぎ、志村ふくみの孫である志村昌司を中心とした次世代によって植物の色彩世界を伝えていきたいという思いから生まれたブランド。染料となる藍、藍、紅花、茜、臭木は工房の隣の畑で栽培されており、京都 嵯峨の工房で志村の芸術精神を受け継いだ作り手たちが、「人間が欲しい色を出そうとするのではなく、植物が本来持っている色に耳を傾ける」染織をコンセプトに制作をしている。
一番シンプルな織りの技法「平織り」にこだわっている。それは着物に描く風景をより鮮明にするためで、あらかじめ並べられる経糸(たていと)に、一本一本緯糸(よこいと)を入れて織りあげ、そうすることで反物(たんもの)になったときに色がいきいきと見えるようになる。
植物から色を抜いて大切に染めた糸は、たとえ端っこであっても簡単に捨てることはできない。工房には、その端糸と端糸をつないでできた「つなぎ糸」が受け継がれている。これを入れて織るとつないだ人たちの想いが今につながるのか、着物の中に奥行きがあらわれるという。中には、小野豊や志村ふくみが近所の農家の女性たちに頼んでつくってもらった4、50年前のものも存在する。
■歴史
母・豊からの影響で染織の路に入ったふくみは、紬織を「工芸」から「芸術」へと昇華させ、独自の美の世界を創造した。その娘・洋子は母と同じ染織の道に進みながらも、ゲーテやルドルフ・シュタイナーの思想と出会い、1989年にふくみと都機工房を設立後は、日本伝統の着物という枠を超え、「色」という普遍的な美を目指すようになる。
2013年4月、時代に対する危機意識の高まりとともに、社会に開かれた芸術教育の場をつくりたいという希望のもと、志村ふくみ、娘・洋子、そして孫・昌司を中心として、京都にアルスシムラを設立。アルスシムラにはその芸術精神に共感する多くの人々が全国から集まり、社会へと巣立っている。
2016年にスタートしたatelier shimuraのブランドもこの流れを汲むものである。