■カレ・ロワイヤル
1950年代、南フランスの地方都市グローレ・メザメで、レザー製品を加工する工場として創業。当時、自社工場を持っていなかった世界的なラグジュアリーブランドのファクトリー業も請け負っていた。
しかし革製品の製造拠点が他国へ移ったことや、巨大メゾンが自社製造に切り替えたことなどが原因で、一時は衰退したものの、2006年に自社ブランドの製造をスタート、新オーナーのもとリ・ブランディングに成功し、息を吹き返す。現在では、フランスのギャラリー・ラファイエットやMoMAストアなどヨーロッパ各地に取扱われている。
代表作は「オートゥイユ」と「ラスカルビッシュ」コレクション。どちらも、皮革の最高素材とされ、表面の自然な表情をそのまま生かしたナチュラル・フルグレイン・レザーを使っている。このレザーはキメが細かく、柔らかな手触りが特徴だ。使い込むごとにひとつひとつ表情が変化 していく。
他にも、ベジタブル・タンニングレザーとイタリアのキャンバス地を組み合わせた「ジャンスィオ」や、スペインの伝統織とレザーを組み合わせた「モネスペル」といった、テキスタイルとのコンビネーションが特徴のコレクションも。「ジャンスィオ」はレジン(松やに)コーティングによって、撥水加工が施されている。
植山さん:
長年の歴史の中で培われたノウハウと、一流のタンナーとの工房設立時から半世紀近く続く繋がりがあるので、上質なレザーを使いながら製品価格を抑えられるのも魅力です。実際に手に取ると、製品の手触りの良さを実感できると思いますよ。
ナチュラルな風合いでカジュアルに持てる「ジャンスィオ」。
クレジット4枚が入り、2ポケットタイプのウォレットで10,000円(税抜)。
そして2014年春夏の新作として仲間入りしたのが「ベリンゲデ」と名づけられたハイクラスのコレクションだ。フランス国内屈指のタンナーでなめされた上質なラムスキンを使用したコレクションで、全てスペインで生産されている。封筒を折りたたんだようなフォルムと白・黒・ベージュのみで展開されるミニマルなデザインがポイント。クラッチバッグやカードケース、ミニバッグ、コインケースなどが発表された。
■セブンティ・エイト・パーセント
2003年に香港へ移住したイスラエル人デザイナー、シャイ・レヴィ(Shai Levy)により立ち上げられ、2009年にスタートした。
長年アウトドアブランドのバッグをデザインした経歴を持つシャイ・レヴィは、機能的かつ先鋭的で洗練されたストリートスタイル、そして卓越した職人技術を統合することにより、アウトドアギアのパフォーマンスと、都市環境に適応させた機能的品質を兼ね備えたバッグなどを生み出している。
素材は、日本・倉敷で作られる最高水準のコットンキャンバスと、イタリア・トスカーナ地方のタンナーで生産されるベジタブル・タンニングレザー。いずれもデザイナー本人が探し、選び抜いたものだ。倉敷のコットンキャンバスの工場は80年以上の歴史を持ち、糸から生地にするまで1週間かけるという。
ブランド名の「セブンティ・エイト・パーセント」は、シャイ・レヴィの「78%完成されたプロダクトを創造し、残りの22%の意図的な不足部分は、使い手のライフスタイルと素材のエイジングにより補填される。使われることで初めて、ユーザーに順応した100%のプロダクトができあがる」という理念を表したものだ。
定番人気は欧米のオールド・ファッションな学生カバンにモダンなひねりを加えた「back to old school」コレクション。「シュルツ」(大)、「ディミトリ」(中)、「ザジー」(小)の3サイズで展開されている。「シュルツ」と「ディミトリ」はラップトップやドキュメントなど仕事道具をたっぷり収めることができ、旅先でも日常でも使いやすい。ザジーは、レディースのハンドバッグとしてもオススメのコンパクトサイズだ。更に2014年秋冬の新作として発表された「エステヴァン」は、これらのオールド・ファッションなデザインはそのままに、バックパックへと変換させたもの。
左から)「ディミトリ」「ザジー」「エステヴァン」。
竹内さん:
アウトドアブランドのデザイン経験のあるシャイ・レヴィならではの、背負い心地とフィット感を体感してほしいですね。