ミュベール(MUVEIL)の2023年春夏コレクションが発表された。ここ数シーズン、実在した女性たちの心豊かな生活に思いを馳せながらクリエーションを展開してきたが、今季は打って変わって「プリミティブ・アート」を着想源とした。
アフリカを中心に世界各地で発見されている土着の民族美術、プリミティブ・アート。これまでに置物や仮面などが発見されており、そのどれもが、売りものとしてではなく、作者の直感が赴くままに創作されている。
今シーズンは、そんな純粋なエネルギーから作られたプリミティブ・アートを着想源に、ハピネスなムードいっぱいのコレクションを展開していく。
まず目を引くのは、プリミティブ・アートに見られる幾何学柄を落とし込んだピース。たとえばスカートや付襟では、立体感のあるアップリケで幾何学柄を表現し、アクティブな表情に。リボンでウエストマークしたフェミニンなドレスも、スリーブや首元などにジグザグのレースをあしらい、今季らしいエネルギッシュなアクセントをプラスした。
時折用いられた鈴をイメージしたというパーツは、コレクションに漂うエキゾチックなムードを盛り上げていく。ブラウスの首元やプリーツスカートのウエスト位置にあしらわれた輪っかのディテールはその好例だ。また、ハートチャームやメタルボールなどシルバーに輝くパーツがあしらわれたアイテムも展開される。
素材は、リネンやコットンなど軽やかな素材が主流。あえて表面感がある生地を起用し、そこに製品染めを施すことで、濃淡のあるクラフト感溢れる印象に。
また、エネルギッシュな草花を表現したオリジナルプリントは、版の工程を増やして何度も色付けすることで、色の濃淡を表現。カラーコントラストを効かせた配色も相まって、平面的な一枚の布地でありながら、奥行きのある表情に仕上げた。
カラーパレットは、日に照らされたブラウンと、気分を高めてくれるピンクをメインに。特にピンクは、プリミティブ・アートのように見る者をハピネスなムードで包み込む優しく鮮やかな色味が印象的で、ワンピース、ジャケット、スカートなど様々なアイテムに採用されている。