マックイーン(McQueen)の2025年春夏ウィメンズコレクションが、2024年9月28日(土)にフランス・パリで発表された。
ショーン・マクギアーによるマックイーンでの2度目となるショーは、彼の故郷・アイルランドに伝わる「バンシーの伝説」から着想を得た。「バンシー」とは、人の死を叫び声と泣き声で予告する女妖精のこと。感情豊かで率直、導き手ともみなされるそんな「バンシー」の姿を、ダークでロマンティックなコレクションへと落とし込んだ。
ファーストルックに登場したのは、英国スーツの伝統を覆す“ツイストされた”テーラードだ。ひねりを加えたことで中心に向かってギャザーが寄り、女性らしい曲線のシルエットが露わに。その一方でショルダーはつまんで引き上げられ、凛と力強い気質を漂わせている。
妖精の軽やかさを思わせる、シルクやオーガンザといった素材使いにも注目だ。肌をほんのり透かすホワイトシルクシフォンのドレスには、放射線状に広がるサンレイプリーツを施すことで、ふんわりと羽のような質感に。このほかにも、繊細な蜘蛛の巣状のレースを配したドレスや、ウォッシュ加工入りで今にもほどけそうなシフォンスカートなど、儚げな雰囲気のピースが散見された。
マックイーンを象徴するスーパーローライズの「バムスター」パンツは、本コレクションに合わせてロマンティックなスカートに再解釈。ウエスト部分をカットアウトして素肌を覗かせ、その周りにフリルを装飾することでフェミニンなアレンジを加えた。
ショーの終盤に入ると、ショーン・マクギアーの得意とする煌びやかなイブニングドレスが続々と登場。モノトーンが基調のコレクションに鮮烈なリズムを与えるオレンジの総レースドレスや、シルバーの刺繍を施したライラックのドレスなどが提案された。中でも目を惹いたのは、“棘”の刺繍をあしらったブラックドレス。ブラックスワンを思わせるダークな美しさで、独特の色香を放っていた。