ミントデザインズ(mintdesigns)の2022年秋冬コレクションが発表された。タイトルは、「NEW FORM」。
ブランド設立20周年を迎え、次なる新しい物語を紡いでいくための“第一歩”ともいえる今シーズン。着想源となったのは、イサム・ノグチ庭園美術館で展示されている彫刻作品だ。今回はその中でも、石の形を生かしつつ、手を加えることで新しい美しさを吹き込んだ晩年の作品群をイメージソースとしている。
デザイン画を描くことからスタートするのではなく、ノグチの制作過程を追体験するように紙の布で抽象的な造形物をつくり、それを服として昇華させる。そんな新しいプロセスを経ることで完成させたコレクションは、いつも以上にフレッシュなムードで満ち溢れている。
まず目を引くのは、見る者に不思議な感覚を与える独創的なフォルムだ。キルティングスカートは、思わぬところでカーブを描く多角形のようなシルエットが印象的。スカートと同素材で仕立てたジャケットは、彫刻作品がそのまま服になったかと思うほど、アームや身頃がふわりと膨らんでいる。
イサム・ノグチの作品からヒントを得たアイディアは、テクスチャーにも反映。その好例なのが、真っ白なワンピースだ。一見シンプルな印象を受けるこのワンピースは、触ってみると今季を象徴するアイテムであることがわかる。本コレクションを生み出した紙の布のような生地で仕立てられており、そのザラザラとしたテクスチャーはイサム・ノグチの風合い豊かな作品を思わせる。
ワンピースやスカートにプリントされた抽象画のような柄は、形にならないイメージをそのまま表現したもの。ペンキのようなもので思いのまま色をのせて作り上げたというパターンは、クラフト感のある優しげな表情が魅力だ。中でも、細い糸を編み上げたトップスやスカートを重ねたルックは、その繊細な佇まいと相まって、どこか儚げなムードさえも感じさせる。