アシードンクラウド(ASEEDONCLOUD)の2022年秋冬コレクションが発表された。
アシードンクラウドが今季の「kiokushi」でモチーフとしたのは、記憶の地図を作る職人。この架空の物語の舞台となる地域に住まう人びとは、定住地を持たず、地図や時間の概念もない。しかし時折り、自分にとって特別な場所やかけがえのない日を思い出したいとき、人びとは記憶の保管庫へと向かい、そこで記憶の原点にたち返ったのちにまた移動生活に戻るという。かの地図職人とは、各地に積み重なった記憶をすくい上げ、記憶の地図を描くのだ。
地図を作る職人という着想源を直接に表すのが、架空の地図のモチーフだろう。ブラウスやスカーフなど、上品な素材感のテキスタイルには、さながら現実に存在するかのように緻密に描きだされた架空の地図を全面にプリントしている。
定住地を持たない人びとの住まう地を舞台としたことにちなんで、移動に不可欠な存在である馬にちなんだディテールも組み込まれている。トレンチコートには、乗馬中に足を通してホールドするベルトをプラス。あるいはスタンドカラージャケットには、ペンを立てて位置を定めるためのループを袖先にあしらった。
人びとの移動において、夜の星空はある種の地図となる。タペストリー調の素材には、冬の星座のモチーフを夜空に浮かび上がる配置にしたがってデザイン。ウエストにドローコードを配したジャケットや、裏にキルティングを施したベスト、スカートなどに用いた。