「うつくしい日々」から、この白い光を引き継ぐようにして展示空間を作り上げているのが、2021年春に撮影された桜と藤の写真から構成される「光の庭」だ。これまでの作品の多くでは、追憶や夢、幻想といったフィクションがイメージと結びついてきた。他方で本シリーズでは、白い光で曖昧化するイメージが、明確なかたちを結ばない未来を反映するというように、未来というフィクションとイメージが結びついた作品となっている。
展覧会の最後を飾るのが「Chaos Room」。藤の花が咲き乱れるかのような大木を取り巻く展示室内には、多彩な写真や映像のほか、蜷川が映画でも使用したオブジェクトの数々を、さながら蜷川の活動が浮かび上がるコラージュのように展開。
やや暗がりに沈んだなか、人間の欲望の結果生まれた金魚、艶やかな唇、あるいは屋外フェスティバルの熱狂と不気味さが交錯する様子など、それらは官能的であり、グロテスクでもある。花の色鮮やかさや光の明るさとは打って変わった雰囲気でありながらも、蜷川の活動のある側面を凝縮したような空間に浸ることができる。
美術館内のショップでは、蜷川実花展にちなんだグッズを多数展開。ポストカードはもちろん、“金魚が戯れる”マッキーなども取り揃えている。
特別展「蜷川実花展─虚構と現実の間に─」
■東京会場
会期:2021年9月16日(木)~11月14日(日) 会期中無休
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
開館時間:10:00~17:00(最終入館は閉館の30分前まで)
入場料:一般 1,800円(1,600円)、大学・高校 1,600円(1,400円)、中学生・小学生600円(500円)
※平日は日付、土日祝は日時指定制。観覧前日までは( )内の前売り料金でチケット購入可能
※内容は変更となる可能性あり(最新情報、詳細、注意事項については東京会場公式サイトを確認のこと)
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
■山梨会場
会期:2021年7月10日(土)〜8月29日(日)
※山梨県立美術館では8月29日(日)までの開催予定だったが、9月12日(日)まで臨時休館のため会期終了
※前売券を購入し、観覧できなかった人には払い戻し対応を実施(詳細は山梨県立美術館公式ホームページを確認)
会場:山梨県立美術館 特別展示室
住所:山梨県甲府市貢川1-4-27