ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)は2021年春夏メンズコレクションを、イタリア・ミラノのウマニタス大学にて発表した。
2021年春夏シーズンのキーワードとなるのは、「建築」と「イタリア屈指の才能」。1960年代のデザインやイタリアの建築物からインスピレーションを得て、建築だけでなく芸術、手工芸といった要素をテーラリングに組み合わせる形で再構築。海を連想させるブルーやホワイトといった爽やかなカラーパレットを基調に、多彩な造形やコントラストを実践しながら独特の佇まいを形作る。
中でも特に、イタリアの建築家ジオ・ポンティがデザインしたソレントのホテル「パルコ デイ プリンチピ(Parco dei Principi)からアイディアを得たデザインが目に留まる。ジオ・ポンティが手がけた鮮やかなブルーとホワイトのセラミックタイルを思わせるデザインやテキスタイルは、シャツやガウン、カットソー、ニット、パンツなど多彩なアイテムに落とし込まれた。
異なる大きさの柄を組み合わせたグラフィカルなパンツや、彫刻モチーフとタイルを組み合わせたシャツ、タイルとストライプを組み合わせた柄に建築の図像を差し込んだカットソーなど、パズルをはめ込んでいくかのごとく、様々な要素を構築していく“デザインの実践”が見て取れる。
手描きで描かれたかのように表情豊かなテキスタイルは、服地の流れに沿ってスペクタクルさを増し、ズームアップしたタイルのカラーブロックをざっくりと編んだニットや、パッチワークデニムで構成したパンツやプルオーバーは、その表情豊かな風合いがクラフツマンシップを感じさせる。
ポケットの上からかぶせるようにして大胆に異素材をパッチワークしたシャツや、裾のラインを揃えずに布地を切り替えたブラウス、前立てのみが垂れ下がるような形で長めに残されたシャツなど、衣服の仕立ての枠にとらわれないパターンメイキングも印象的だ。異素材を組み合わせ、あえて歪な形に仕立てたパッチワークジャケットは、ボタンの位置やポケットの向きがそれぞれ異なり、左右の身幅も非対称になっている。
オーバーシルエットのデニムジャケットは色のトーンや加工がバラバラなデニムを繋ぎ合わせ、合わせや襟は二重に。粗野な断ち切りの質感を残して再構築していくことで、無骨さを演出する。
リラクシングなシルエットや、流れるような素材の質感も特徴的。柔らかなアイボリーのメッシュブルゾンに合わせたワイドパンツは、布地の分量を多くとって仕立てることでエレガントなドレープを描き出す。カットソーや半袖シャツの方はドロップショルダーで緩やかなラインを描き、しなやかな素材で仕立てたロングガウンは、空気を含んで大きく広がっていく。
コーディネートでは上下で分量感の緩急をつけたスタイリングを展開。例えば、ゆったりとしたシャツやオーバーシルエットのジャケットにはテーパードパンツやスリムフィットのパンツを、ウエストをシェイプしたテーラードジャケットや、タイトなカットソー、ポロシャツ等にはワイドパンツを組み合わせてバランスを取り、洗練された佇まいを演出した。
尚、ドルチェ&ガッバーナは、今回のショー会場となったウマニタス大学にかねてより支援を続けており、国際医学学位課程であるMEDTEC スクールの学生向け奨学金をはじめ、研究をサポートしてきた。チャリティーショーとしての側面も兼ねた今回のショーの間、クラウドファンディングを通じて集められた寄付金はすべてウマニタス大学のCOVID-19研究資金へと提供される。