トリー バーチ(TORY BURCH) 2020年秋冬コレクションが発表された。
ニューヨーク出身の女性アーティスト、フランチェスカ・ディマティオの彫刻にインスピレーションを得た今シーズン。“陶器の限界”に挑むフランチェスカの作品は、あらゆる素材やモチーフ、そして文化的背景をミックスしているのが特徴で、ランウェイにはそんな彼女の世界観を詰め込んだ、秋冬のレディ・トゥ・ウェアが姿を現した。
クリーム、ホワイト、チャコール、ネイビー、ブラックといった落ち着いたカラーパレットの中で、視線を奪うのは、フランチェスカの彫刻をモチーフにした、エネルギッシュなプリント。まるで絵画のようなフローラルプリントから、セーヴル磁器を連想させる抽象的なプリントまで、多様でカラフルなパターンが、ドレスやニット、スカートを彩り、憂鬱な寒空を吹き飛ばすかのような華やかさを投じている。
予想外の異素材を巧みに融合させる、フランスチェスカの作風もコレクションから見て取れた。コットンジャカードと贅沢なベルベットの組み合わせや、クレープデシンにレイヤードされたコットンポプリンなど。そして変形したスパンコールは、シルクサテン×クレープを使用したイブニングドレスへと流れ落ち、モデルが闊歩する度に、キラキラと眩い煌めきを解き放つ。
コレクション全体から感じられるのは、どこかノンシャランでありながらも、大人の余裕を感じさせる洗練されたムード。パジャマ風セットアップにはカフタンを重ね、肌を透かせるシースルードレスは、いかにも着心地の良さそうな、ゆったりとしたフォルムが目を惹く。またエフォートレスな花柄ドレスには、かっちりとしたハイカラ―ジャケットを合わせるなど、絶妙なバランスを計算した大人のスタイルを提案している。
モデルたちの足元を飾ったのは、柔らかな空気に、ぐっとアクセントをもたらすタイトな革製ニーハイブーツ。中には、ワードローブ同様の“フラワーモチーフ”を刺繍で丁寧に表現した、ロマンティックなモデルも登場した。