トップブランドに必要なチョコレートとは?
ブランドとして、ここに行けば常にあるというチョコレートも必要ですし、新しい世代に向けて新しいチョコレートを紹介していかなければならない。それはファッションも同じではないでしょうか。例えばシャネルも素敵なクラッシックなジャケットもあれば、これまで見たことがない華やかな服も紹介していますよね。
過去に発表してきた“新しいショコラ“について教えて頂けますか?
例えば、2015年は、野菜とチョコレートを組み合わせて塩気のあるショコラ、「エスプリ サレ」を発表しました。ガナッシュにオリーブや、マッシュルーム、そして、飴色に炒めキャラメリゼした玉ねぎを使いました。2016年には、キャビアやウォッカを使ったショコラ、「キャビア&ウォッカ」を発表しました。
2018年は栄養士の方と協力して、動物性脂肪を使わない、植物性脂肪によるショコラ、「ビヤン ネートル」を発表しました。ガナッシュは、生クリーム、バター、そしてチョコレートを混ぜて作っています。生クリームとバターは牛のミルク、すなわち動物性脂肪を使っています。動物性脂肪を使わずに、そして美味しさを犠牲にすることなくショコラを作るのは常識を覆すことでした。
どれも、ありそうもないと美味しい、そして美味しいと素晴らしいとを隔てる、言葉に尽くしがたい違いをはっきりと感じ取れる、ラ・メゾン・デュ・ショコラの精神を体現するショコラです。
ショコラティエのアーティスティックな側面を教えてください。
イースター用のチョコレートのアートピースはショコラティエの腕を見せるクリエイティブな仕事の1つです。
イースター(復活祭)は十字架に架けられて死んだキリストが復活したことを祝うイベントですね。イースターのシンボルである卵は、生命の始まりの象徴であり、殻を破る雛が復活を象徴しています。
ラ・メゾン・デュ・ショコラでも卵やひなをモチーフに毎年、美味しくて可愛らしい製品を出しています。その際にチョコレートを使ったアートピースも作っています。
2020年のテーマを教えてください。
ラ・メゾン・デュ・ショコラの2020年のイースターのコレクションテーマは、素晴らしき航海。
フランスの作家ジュール・ヴェルヌの海底二万里からもアイデアを受け、復活のシンボルである卵から孵ったひよこが潜水艦にのって世界各地を回りながら極上のカカオを探すのがコンセプトです。あえて飛行機でなくて潜水艦にしたのは、潜水艦の方がゆっくり進むから。時間をかけて突き詰めながら前に進み、極上のカカオを見つける航海。潜水している時間があまりに長いから、いろいろ修理してつぎはぎがあるような潜水艦に乗っている。
このテーマを重さ7kgのチョコレートを使って横約75cm、縦約75cmのアートピースを作成しました。残念ながら日本ではこのアートピースは販売されませんが、代わりに潜水艦の丸窓から外を覗く可愛らしい表情の3種のヒヨコをお届けします。
どのようにお客様にラ・メゾン・デュ・ショコラを楽しんでいただきたいと思いますか?
ショコラは見た目も綺麗で、1つのショコラがあるだけでその場が華やかになり、日常に小さな幸せを運びます。
2月のバレンタインでは、パリの街中のさまざまなカフェテラスで喜びにあふれた光景を表現したショコラを用意しています。3月のホワイトデーにはローズ風味の限定レシピを、そして、先ほど紹介したイースターも発売されます。
ギフトの需要は常にありますが、自分自身で楽しまれるためにもお店に来ていただきたいですね。
友人とお茶をする時間、恋人と過ごす時間、子供が寝た後の夫婦2人の時間に華を添えてくれますよ。その場合チョコレートは15〜18度に保っていただくと美味しいです。口の中に入れたら、2口3口ちょっと噛んでみて、最初の味わいを楽しんで、それから口の中で溶かしてみてください。
最後に飲み込んだ後に余韻が残りますから、余韻までの変化をお楽しみください。きっと感動を呼び起こしてくれます。