シュシュ/トング(SHUSHU/TONG)は、「愛してるって言わなきゃ殺す」をテーマにした2019年秋冬コレクションを2019年3月19日(火)に渋谷ヒカリエにて発表した。
テーマになった刺激的な言葉は、戸川純の曲「好き好き大好き」の歌詞からインスピレーションを得たもの。少女が抱いた「好き」なのに「殺す」という、愛と憎悪の表裏一体の想いをデザインに落とし込んだ。
「好き」の部分はとびきり可愛く。ロマンティックなAラインやトラペラーズライン、フレアワンピースのシルエットをベースに、フラワーモチーフや煌めくビジューが、溢れんばかりの愛を伝える。
スカートにランダムに配された、まるで花のようなギャザーは、穴のあいた部分をギュッと閉じ込めるようにして、2つのリボンを結んで作ったものだ。そこから生まれた大胆なフォルムと、に忍ばせた繊細なチュールが、不安と幸せが往来するような“恋心”を思わせる。
好きという気持ちが1番だから、憎悪の感情は表に出しすぎるわけではなくさり気ない部分に表現している。スカートやパンツのヘムは切りっぱなし。パッチワークで配された抽象的な花柄も、それぞれ端が解れていて、荒っぽさが残っている。ハンドペイント風のギンガムチェックもまた、色がかすれた乱雑な雰囲気だ。
ブルーやホワイトといった優しいカラーパレットが愛を示すならば、その反対にブラックとレッドの過激なコントラストが憎悪を示す。あどけなさを感じさせるはずのキルト生地のワンピースは黒のベルベットによってダークな印象にシフトした。ただカワイイだけではない、そのフェミニニティは、少女の恋心に見るダークファンタジーへと巻き込んでいく。