ロエベ(LOEWE)は、2025年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
すべてを削ぎ落とし、"輪郭線”にフォーカスした今シーズン。屈曲したり、流れたり、長く伸びたり、突如カットしたり……多様なアウトラインの可能性をストイックに探り、ノイズを取り除きながら研ぎ澄ましていく。輪郭に集中し磨き上げていくことで、浮かび上がってくるその他の付加的な要素をすくいあげながらも、本質を追求していくプロセスが見て取れる。
象徴的なのは、クリノリンを用いたドレスルックだ。ドレスにボリュームを出す目的で用いられていた本来の用途からは離れ、骨組みを加えることによる、アウトラインの変容のためにクリノリンが用いられている。ドレス本体に薄く透け感のあるシルク生地を用いることで、通常は布地で覆い隠されるはずの骨組みは透けて見え、骨組みの端から急にボリュームダウンするかのごとくしなやかに布地が流れていく。単に分量感を持たせるためではなく、流動的なアウトラインを実践するための、新鮮なクリノリンスタイルが見受けられた。
この他にも、レザーコートやジャケットの裾はまくれ上がり、スパンコールを散りばめたニットにはペプラムをあしらいフレアなシルエットに仕上げるなど、動きのあるフォルムが散見された。ステンカラーコートは裾を大胆にカットし、裾を縁取るようにしてゴールドのメタルをプラス。レザーライダースジャケットはパターンに角度をつけて波打つようなフレアシルエットに仕立て、ワイドパンツは布地をたっぷりと1か所に寄せ集めることで多方向に流れるドレープを生み出した。
うねり、跳躍し、流れていく造形にのせられることで、表面を彩るテキスタイルや素材の表情がより際立っているのも印象的。シアーなシルクを彩る印象派の花々は生き生きとした姿を見せ、ミニドレスを彩る光沢は、カーブを描く布地に沿ってマザーオブパールの貝殻のように上品に輝く。
例外的にベーシックなシルエットで登場しているTシャツには、全面にフェザーを装飾。モーツァルトやバッハといった音楽家の肖像や、エドゥアール・マネの《笛を吹く少年》、フィンセント・ファン・ゴッホの《ひまわり》といった名画をフェザーの上からプリントすることで、見慣れたモチーフに新鮮なアクセントをもたらしている。
動きのある服のフォルムと呼応するかのように、軽くしなやかな台形バッグ「マドリード」が新登場。ロエベの本拠地にちなんで名付けられた「マドリード」はマチを広くとったソフトなレザーバッグで、フロントを貫通するストラップを引くと開き口を絞ることができるようになっているが特徴だ。