ヴィヴィアン・ウエストウッド ゴールドレーベル(Vivienne Westwood GOLD LABEL) 2012-13年秋冬コレクション。緑や赤のレーザーやサーチライトが交差し合いながら会場内を走り、まばゆいフラッシュで包み込まれる中、エキサイティングなショーがスタート。タイトルはヴィヴィアンのホームグラウンドである、「London」。ジョージ・エサリッジの劇「The Man of Mode(当世伊達男, 1676)」のような世界観を通して、人間の尊厳と気高さまでをも表現した。
17世紀はイギリスにとって、政治的にも商業的にも国としてのアイデンティティ確立した激動の時代。そこで活躍したアーティストや、知識人、科学者など、教養に溢れた歴史上のヒーロー達の人生に想いを馳せた。
ファーストルックの白衣のようなコートにメガネ、ベレー帽の学者風スタイルには、当時の科学への関心の高まりが表現されている。肩を強調したマニッシュなジャケットのフォルムにも、時代を築いたヒーロー達のたくましく気高い精神が反映されているよう。チェックの生地遣いや、クラシックなコルセットやクリノリンのシルエットにも、イギリスの歴史が凝縮されている。
巧みなテーラーリング技術に、ドラマティックなドレープ、切りっぱなしのディテールなど、ヴィヴィアンらしいパンクのスピリットにも溢れている。ゴージャスなビーズ刺繍や華やかなグラフィック、ダイナミックなファーやフェザーやチュール、そしてグリッターも強烈な印象でコレクションを盛り上げた。さらに、モデルが自転車にまたがって登場するというユニークな演出も会場が沸いた。メイクアップは17世紀のヨーロッパ美術を代表する巨匠画家、ルーベンスの描くロマンティックなヒロインをイメージし、生き生きと輝く表情をつくりだしている。
フィナーレはヴィヴィアンが、公私に渡るパートナーであるアンドレアスと共に古い50ポンド札をデザインした衣装で登場。自信に満ち溢れた笑顔で割れんばかりの拍手に応えた。