アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)2017年リゾートコレクションは、旅する人々が持つサブカルチャーを空想的に解釈した世界からインスピレーションを得ている。
この世界に登場するのは、代々受け継がれている家宝や、両親より譲り受けた洋服、インテリアの装飾品などを集めるコレクターの女性。まるで彼女のワードローブを眺めているような、ヴィンテージ感あふれるコレクションが展開された。
ミニ丈のスカートやワンピースが多い本コレクション。特に目を引くのは、段ごとにカラーが変わるフリルのニットドレスだ。フェミニンな雰囲気を作り出すこのフリルの要素は、少しずつ姿を変えて、ペプラムやティアード仕立てとなって、様々なスタイリングに現れた。
女性らしさを呼ぶディテールは、柄にもふんだんに表れている。花柄のテーブルクロスプリントのトラペーズドレスは、ヴィンテージのインテリアファブリックをそのまま身に纏ったよう。
また、クールな印象のレザードレスは、肩から腰に広がるフラワー刺繍で一気にロマンティックな印象に。贅沢なツイードで織られた千鳥格子柄のコクーンジャケットもまた、素材の風合いやカラーチョイスによってフェミニンさを強調している。
スタイリングに合わせたアクセサリー類には重厚感のある装飾が施された。様々なスタイリングに見られたチェルシーブーツには、メタルスタッズでデコレートした厚いトレッドソールを、イヤリングやネックレスなどのジュエリーにはクリスタルをふんだんにあしらいオーバーサイズにデザインした。
コレクション後半に差し掛かると、豪華な屋敷の絨毯のような、左右対称の総柄イブニングドレスが登場。これほどゴージャスながらもどこか懐かしさを感じさせる、花やレースや刺繍といった要素のすべてが、旅する者の夏のロマンスを表現している。