2015年3月16日(月)、タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)の2015-16年秋冬コレクションが東京・渋谷ヒカリエにて発表された。
ブランド設立30周年という節目を迎え、13年ぶりにランウェイで発表を行ったタケオキクチ。長い沈黙を破り、発表されたワードローブは、ミニマルで美しい、本ブランドのイメージを180度覆すものだった。
「ルードボーイ」をテーマとしたショーは、洋服だけでなく演出もテーマを表現。大音量でかけられるBGMに乗って踊りながら歩いたり、ハイタッチをかわしてすれ違ったりと、理路整然とした従来のコレクションとは一線を画したパフォーマンスだった。また今回菊池は、男女の垣根をできるだけなくそうと中性的なモデルを採用。ウェアだけでなくショー全体で“ユニセックス”の概念を体現しようと試みているようだった。
ウェアのデザインは、1985-86年に行われた本ブランドのコレクションで、菊池武夫自身が印象に残っているルックをインスピレーションの源にしたものが多く登場。インタビューで「極力コーディネートしないように」と菊池自身が語る通り、裸にジャケットとトラウザーだけをまとったルックなど、最低源のデザインをしながら、特大のリュックやカーディガン、コートなど、サイズ感で遊び心を演出した。
カラーパレットは、ブラックをはじめとしたダークカラー。このカラーは洋服にとどまらず、全身に黒のボディーペイントしているルックなどにも共通していた。落ち着いた色には、所々レッドやブルーの差し色をプラス。アクセサリーや衣装の装飾は、イヤーカフや仮面、王冠のようなカゴなどゴールドのアイテムが揃った。
ここまでカラーやサイズ感について触れてきたが、冒険心が一番現れたのが、ウェアやアクセサリーのデザインだ。ほぼ全てのルックを通していえることは帽子を着用していたこと。顔よりも大きいハットや、片側に大きく布が流れる帽子など、1点1点が主張を忘れない特徴的なものだった。ウェアは、胴の部分が丸ごとカットされ、サスペンダーでくくられたものや腹の部分が大きくカットされたチェスターコート、ひざ下までくるほど大きいパーカー、ネクタイよりも太いリボンを付けたジャケットなど。それぞれに何らかの“崩壊”と“再構築”を感じさせる。
ウェアと対照的に、シューズは、シンプルでクリーンなものが中心に登場。遊び心が詰まったウェアと均衡を保つように、足元が整えられていた。一方、ウェアがすっきりとまとめられたルックには、ビビッドなスニーカーを合わせるなど、絶妙なバランス感覚が駆使されていた。
ショーの終盤では、ランウェイを歩いていたはずのモデルがランウェイ脇に設置された楽器を演奏。フィナーレに向かいボルテージが上がる演奏の中、菊池本人が登場し、会場が大歓声に包まれた。