M A S U(エム エー エス ユー)の2025年春夏コレクションが、2024年6月19日(水)、フランスのパリにて発表された。なお、ショーは、世界で活躍するファッションデザイナーの輩出促進をはかる「FASHION PRIZE OF TOKYO」と楽天「by R」のサポートによるものだ。
「grayish tale」と銘打った今季のM A S Uがベースとしたのが、トラッドなアイビールックだ。この「トラッドな」という言葉に、少なからず力点が置かれたようだ。なぜなら、時とともに人々に浸透し、受け入れられてきた装いは、しばしば、そこから独自のスタイルを育んでゆく豊かな土壌になるからだ。
トラッドとアイビーを着想源としたM A S Uはだから、ボーダーやブレザー、アーガイルチェックなど、代表的な要素を独自の視点から再解釈している。たとえばボーダーのポロシャツは、その要素を踏襲しつつも、M A S Uを代表するスパイキーな絞り染めでアレンジすることで、存在感のある佇まいへと昇華した。
ややもすれば落ち着いた印象を与えてしまうウェアにも、デザイン性を凝らしてアレンジしている。ブレザーは、全体にランダムなタックを施すことで、端正さを払拭したアグレッシヴな表情に。また、ハリントンジャケットは縦に大胆なプリーツを寄せることで、スポーティな印象を屈折させるととともに、シルエットをいっそうスタイリッシュに仕上げている。
素材もまた、過度にクラシカルにすぎることはない。トラッドな柄の代表ともいえるアーガイルチェックは、かすかに透けるほどに軽やかなニットや、レザーへのプリントで表現。ピークドラペルのテーラードジャケットやスラックスに採用したヘリンボーンのツイードも、随所にスパンコールを施すことで、軽やかな華やぎを添えた。
ルエットは、絞り染めのボーダーシャツ、プリーツを施したハリントンジャケット、端正なツイードジャケットなどに見るように、縦のラインが引き立つストレートな佇まいがベース。また、ブラックやベージュ、イエロー、レッド、ブルーなど、カラーはベーシックなものを軸としつつ、独自のアレンジを凝らした素材の表情、パッチワークなどにより、豊かに変化をつけている。