企画展「Beautiful Japan 吉田初三郎の世界」が、東京の府中市美術館にて、2024年5月18日(土)から7月7日(日)まで開催される。
吉田初三郎(よしだ はつさぶろう)は、大正時代から昭和時代にかけて、日本各地を鳥瞰図のスタイルで描いた画家だ。初三郎が手がけた鳥瞰図は、実際の地形を正確に捉えたものではなく、大胆なクローズアップやデフォルメを駆使することで、見る側が見たいと望み、作る側が見せたいと願う、いわば理想化された風景を表現するものであった。
企画展「Beautiful Japan 吉田初三郎の世界」では、《富士身延鉄道沿線名所鳥瞰図》や《神奈川県鳥瞰図》など、大型の肉筆鳥瞰図10点以上を中心に、ポスターや絵葉書、絵画作品などを展示し、さまざまなメディアで展開された初三郎の世界を紹介する。
初三郎の鳥瞰図には、現実の景観を重ね合わせることで生まれる、現実には存在しない風景が描かれている。たとえば、見えないはずのランドマークを描いたり、中心となる建物を極端に大きく表現したり、あるいは広い範囲を湾曲させて画面に収めたりするなど、大胆なデフォルメを施す一方、鉄道の車両や桜の木など、細部についても丁寧に描き込まれている。本展では、肉筆作品を中心に、1枚の鳥瞰図に詰め込まれたさまざまな工夫に光をあててゆく。
初三郎の仕事は、時代の流れにも結びついていた。初三郎は、当時観光旅行が盛んになりつつあったことを背景に、鉄道沿線の名所案内などで商業美術家として名声を獲得している。また、この時代は、印刷技術が進展していった時期でもあった。会場では、ポスター《Beautiful Japan (駕籠に乗れる美人)》や《霧島・林田温泉》、印刷折本《京王電車沿線名所図絵》といった作品を通して、初三郎の活動を多面的にひもといてゆく。
企画展「Beautiful Japan 吉田初三郎の世界」
会期:2024年5月18日(土)〜7月7日(日)
会場:府中市美術館 2F 企画展示室
住所:東京都府中市浅間町1-3(都立府中の森公園内)
開館時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日
観覧料:一般 800円(640円)、高校・大学生 400円(320円)、小・中学生 200円(160円)、未就学児 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※府中市内の小・中学生は「府中っ子 学びのパスポート」で無料
※障碍者手帳(ミライロID可)の所持者および付添者1名は無料
※本展観覧料でコレクション展も観覧可
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)