展覧会「中村直人 モニュメンタル/オリエンタル」が、東京の目黒区美術館にて、2023年7月15日(土)から9月3日(日)まで開催される。
中村直人(なかむら なおんど)は、1905年、現在の長野県上田市に生まれた芸術家だ。はじめ彫刻家として活躍し、戦時中にモニュメンタルな作品を手がけるものの、戦後の50年代にはパリに移住してグアッシュ作品を制作、異国情緒漂う絵画で注目を集めた。帰国後には彫刻や絵画、版画などを手がけ、1981年にこの世を去るまで旺盛な活動を続けている。
展覧会「中村直人 モニュメンタル/オリエンタル」は、彫刻家としての黎明期、従軍した戦時期、戦後のフランス時代、そして帰国後の4つの時期に分けて、直人の足跡をたどるもの。戦時中に制作された大型の彫刻作品や、ヨーロッパで人気を博した絵画など、直人の作品や資料を一堂に集めて紹介する。
長野・上田に生まれ育った直人は、山本鼎(やまもと かなえ)の勧めによって彫刻家となり、木彫家・吉田白嶺(よしだ はくれい)の木心舎で彫刻を学んでいる。そして、1926年には国内屈指の美術団体・日本美術院(院展)で初入選を果たすなど、次第に院展で認められるようになった。第1章では、彫刻家として歩み始めた初期の活動に着目し、《手品師》といった作品を展示する。
1937年に日中戦争が勃発すると、直人は通信員として従軍し、中国現地の様子を日本の雑誌や新聞で紹介する絵を描いた。また、軍の依頼もあり、兵士をモデルとした彫刻や、記念碑的な大型作品も手がけている。第2章では、戦時期のモニュメンタルな作品を軸に取り上げ、《草薙剣》などを紹介する。
戦後、藤田嗣治と親交を深めるようになった直人は、1952年に藤田の勧めを受けてパリに移住。パリの狭い部屋では思うように彫刻の制作ができず、次第に絵を描くようになり、グアッシュによる独特の作風を編み出すようになった。この時期には、東洋的・日本的なモチーフを数多く手がけ、和服や仏教の五色を彷彿とさせる色遣いでヨーロッパの人びとに強烈な印象を与えている。渡仏後の直人に着目する第3章では、《ジャポネーゼ》や《大原女》など、ヨーロッパで人気を集めたオリエンタルな絵画を目にすることができる。
12年にわたるフランス時代に国際的な名声を得た直人は、1964年に日本に帰国。翌年からは、大正時代より続く二科会を舞台に活躍し、哀愁漂う女性像や裸婦像などを制作、80年には二科展最高賞である総理大臣賞を受賞している。第4章では、帰国後の直人の活動を取り上げ、総理大臣賞を受賞した《会合》などの作品を展示する。
展覧会「中村直人 モニュメンタル/オリエンタル」
会期:2023年7月15日(土)〜9月3日(日)
会場:目黒区美術館
住所:東京都目黒区目黒2-4-36
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(7月17日(月・祝)は開館)、7月18日(火)
観覧料:一般 800円(600円)、高校生・大学生・65歳以上 600円(500円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※障がい者および付添者1名は無料
※目黒区在住・在勤在学者は、受付で証明書類を提示することで、団体料金にて観覧可
■巡回情報
・上田市立美術館〈会期終了〉
会期:2023年4月15日(土)〜6月11日(日)
住所:長野県上田市天神3-15-15
【問い合わせ先】
目黒区美術館
TEL:03-3714-1201